行ってきます。じいちゃん。
俺はハンター試験を受けてきます。
ほぼ強制で
ハジマリ
「おい。お前ハンター試験受けて来い!」
「・・・・・・・・・・・・は?」
それは、そう、例えるなら「ねぇちょっと牛乳買ってきて」と、まったく同じように発せられた。
「・・・今何ていった?ジンさん」
「だから、ハンター試験受けてこいよ」
おいコラそこのオヤジ本気か?本気と書いてマジなのか?俺が?ハンター?てか試験なんて面倒くさくてしょうがない。
「め「面倒くせぇとは言わせねぇぞ☆」
「ッ心読むなよオッサン!!てか語尾に☆とか付けてんなよ。いい歳こいて」
「・・・で?受けるよな?ハンター試験」・・・なんか普通にスルーされました。
「・・・てか、なんで急に?」
ジンさんは、俺のじいちゃんが死んでから、俺が一人で生きていけるようにと、戦い方やサバイバルについて教えてくれながら、2年ほどいっしょに生活していたことがある。その前にも諸事情で1年ちょっとお世話になってた。
師匠 兼 親父 みたいな存在だ。俺も独り立ちして4年。仕事なんかも安定してきたってんで会いに来た訳だが。再会を喜んでいた矢先、
いきなり「ハンター試験を受けろ」って・・・。唐突すぎるよ?自由奔放すぎるよ?俺マジついていけないよ?
「お前もハタチになったわけだし。それに資格あったほうが、仕事楽だろ?」
「や・・・そうだけどさ」俺は今年21歳になる。
法律なんかにバッシバシ引っ掛るような仕事もするっちゃするから、ハンター証は何かと便利だ。
「ネテロ会長なんかにも頼まれててな。”お前に試験を受けるように言ってくれ”ってな」
「ネテロじぃちゃんが?」
「おう!お前はいいハンターになるってな。俺もそう思うぜ。それに今年の試験には俺の息子も参加するみてぇだ」「正直息子見てきて欲しいだけじゃねぇの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違うぞ?」
「なんだその間は」
「なら大丈夫だ!そこらのハンターよか強い!俺が保証する!」
「何だよソレ」
「俺が仕込だんだから、体術に関してはカイトくらい強いんじゃないか?」
「カイト兄くらいか・・・そんなに成長したかな俺・・・」
ちと照れる。
カイト兄はジンさんの弟子。つまり兄弟子!んでもって俺のあこがれさ!
カッコイイんだよ、あの人は!あんな大人になりたいデス。
「んな訳で、受けて来い!」
「えぇ〜でもめんど「もう申し込んであるからな!」
「・・・・・は?」
俺は本日2回目の間抜け顔を疲労する羽目になった。
何て言ったよ、このおじさんはっ!どこまでGoing My wayなんだ。
「試験は1週間後!心おきなく行って来い☆お前なら絶対受かる!」
「待て、だったら俺の了承なんてはじめからいらなかったんじゃねーか!」
「そうかもな!とりあえずハンター試験受かってこい!」
わはは!と豪快に笑うと、俺の頭をぐりぐりなでるジンさん。俺は諦めの溜息と共にやる気の無い返事を返した。
やっぱジンさんには敵わない。そんなことを改めてかみ締めて、感動の再会もままならず、俺はハンターになるべくザバン市に出発した。なんとも幸先よくない、微妙なスタートである。