「あっカイト兄〜これ食えるヤツ??」

「ん?あぁそれは食えるぞ。だがその足元の黄色のはダメだ」

「わかった」

 

 

問題です。俺は今、どこにいるでしょーか?

 

答え:カキン国の鬱蒼とした森。

 

 

 

 

避難

 

 

 

 

俺は4次試験がスタートしてすぐ、試験官を必死で撒いて、素敵な鎌のお力でカイト兄の所にとんできた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ〜流石試験官。撒くの大変大変!」

ちょっとばかり息切れちまったぜ。

スタートと同時に俺はもうダッシュした。ひたすらダッシュ&ダッシュ!

スタート地点から俺を見つめる熱視線を感じていたから、恐らく個別に試験官でもつくんだろうと予想がついた。

鎌のことをあまり多くの人に知られるのは好ましくない。だからダッシュ。自慢の足でダッシュ。

でもさすが試験官なだけあって、結構粘ってくれちゃいました。

そんなこんなでやっと試験官を撒いた俺は、まわりをぐるりと見回して神経を研ぎ澄まし、周りに気配が無いことを確認してから、念のため木の上に隠れてからカイト兄のもとへ飛んだ。

 

 

 

 

 

 

いつもの霧になったような感覚のあと視界が歪み、そして晴れていく。

晴れた視界の先には、のどかな河のほとりでのキャンプ風景が目に入った。

カイト兄が視界に入るんだろうと思っていた俺の予想に反し、

・・・・・とってもファンキーな方々が一様にビックリ顔でこっちを見ていました。

 

 

いや、こっちがびっくりなんですけど。

 

 

熊っぽい癒し系な感じのでっかいのやら、アフロっぽいけどアフロじゃない歌のお兄さんみたいな人やら、

え?!あんたどっかのお土産屋さんに売られてなかったか的ちっちゃい子やら。

何この集団。

 

「・・・お前、か?」

 

熊っぽい大きな人の影から男性がゆっくり立ち上がって俺の姿を視界に入れる。

細身で長身の帽子がトレードマークの薄茶の長髪の男。その顔には薄く笑顔が浮かんでいる。

 

「カイト兄!!」

 

満面の笑みでカイト兄の腰あたりにものすごい勢いで抱きつく・・・もといタックルをくらわす。

が、流石カイト兄、しっかりなんとも無かったかのように受け止めてくれちゃいました。ちぇー。

もちろん抱きつく過程で鎌は瞬時に指輪の中へサヨウナラした。危ねぇし。

 

「「「「「「・・・兄!?」」」」」」

 

さっきまで放心していた皆さんが息ぴったりに叫ぶ。

 

「・・・・・・おぉーすげぇハモリ」

感心する俺に対し、カイト兄は冷静だ。

「ふっ・・・・違う違う。血は繋がってないし、戸籍も別だ」

カイト兄がくすくす笑いながら説明し始める。たしかに皆さん面白い顔になってるけどカイト兄楽しそうだな。

 

「え?・・・・どういうことよ?」

髪の長い女性が不思議そうに聞く。帽子がとってもお似合いだ。

「コイツ・・・は俺のオトウトデシだ」

「てことは?ジンさんの弟子ってこと?!」

「そうだ。まぁ体術とかだけで期間も2年足らずだったけどな。」

「「「「「「へぇ〜!」」」」」」

驚いたように俺を見つめる皆さん。

いや、そんな見つめられると俺穴あいちゃうから。

 

「え〜・・・っと、初めまして。です」

一応自己紹介。笑顔も忘れない。カイト兄に抱きついたままだけど。

「そういやイキナリどうしたんだ?

ひょいっと膝に乗っけられる。カイト兄は昔からよくこうやって膝抱っこしてれる。

今は向かい合ってる格好だ。昔よくこうやって話をしてもらったり、怒られたりしたなぁ。

俺はちょっと思い出し笑いしながら答える。

 

 

「ん?やー俺今ハンター試験の4次試験中でさ」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それで?」

おぉ!カイト兄がビックリしてる。

「このプレートを1週間守り抜けば合格なんだよ。んで守るために逃げてきた」

試験内容と俺のくじの話を詳しくした。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

「やっぱダメ?邪魔かな?俺」

一応ルールは守ってるし。隠れてるのが島の中だけなんて決まってないだろ?

「いや。お前らしいと思ってな。いいぞ、オレはかまわない。久しぶりに話もしたいしな。あぁ、組み手でもするか?」

「やったーありがとうカイト兄!!!」

バンザイして抱きつく。大好きだよ!!!

「でも何でジンさんのとこじゃなくてオレの所なんだ?」

俺の頭をよしよしと撫でながら聞いてくるカイト兄。ちょっと楽しげだ。

「ん?カイト兄に会いたかったからに決まってるじゃんか。それにさージンさんどんな場所にいるか検討つかないし。

下手したら修行とか言って軽く1週間オーバーして失格とかになる可能性高すぎだし。

今回勝手にジンさんに応募されて、ちょっと仕返ししてやりたいし。

だから合否は一番にカイト兄に教えるな!あのおっさんには俺の口から教えないと決めた!」

「・・・・それはそうだな。合否は・・・まぁ楽しみにしておくよ」

カイト兄は苦笑しながら力説する俺の頭をぽんぽんと撫でながら宥める。

 

「なんか、そこらへんの兄弟より仲良しだね」

 

くまさんが俺たちを見てにこにこと言う。

そんなの、あったりまえだろ。

「ホントの兄貴みたいに思ってますから」

くまさんに顔をむけてにっこり言ってやると、カイト兄が明後日の方を見て頬をぽりぽりかいた。

 

初めてカイト兄に会ったのは随分前。初めて「カイト兄」って呼んだときのカイト兄の反応は面白かったなぁ〜。

ピシッて綺麗に固まってから、みるみる赤くなって、アタフタしたからね!アタフタ!!あのカイト兄が!!

 

 

 

 

 

そんな俺を信用してくれたのか、皆が自己紹介してくれた。

長髪で帽子をかぶった女性が、スピン。(さん付けは止めてね。っていわれた)

偽アフロなさわやか笑顔の男性が、スティックさん。駄洒落好きみたいだ。

くまさんが、モンタさん。

小柄で黒髪のめがねの人が、リンさん。

くせっ毛の短髪の女性が、バナナさん。

マスコットみたいな、ちょっと文法が面白いのが、ポンドゴさん。

 

皆こころよく俺を受け入れてくれた。さすがカイト兄のお仲間さん。

みんなアマチュアハンターで、生物調査をしているらしい。

 

俺も居る間、その手伝いと食事係を引き受けた。

それでカイト兄に、この辺の植物の食べられるものと、そうでないものを教えてもらって、

冒頭に至る。っと。

 

久しぶりに、お兄ちゃんに腕によりをかけて美味しいご飯を作ってあげましょう!

 

 

 

 

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20050927 カイトさんとは仲良しです。