・・・・大きな扉。

と、俺は聞いてたはずだぞ?

 

 

 

試しの門

 

 

 

「何コレ・・・・」

イルミは確か、1〜7まで書かれている大きな扉を力の限り押して入れと言っていた。

そう・・・「」って言ってたんだ。

でも・・・・こりゃぁーもう

 

だろ?!

 

何さこの家!山全部家の庭ってのも常識はずれだけどさぁ!

 

 

 

 

 

 

俺はカイト兄のとこに報告に行ったその翌日、つまり今日の朝、ククルーマウンテンに出発して、バスに乗って、今、試しの門とやらの前にいる。

 

・・・・どうみてもだ!!

 

「コレを開けるのかぁ」

すげぇ疲れそうだ。

激しく面倒だ。かといって俺は自分の命を危険にさらす気はない。

・・・憂鬱。

とか考えていると、内側から門が開いた。

 

「うをぉ!?」

驚いて後ろに飛びのいた俺。

「あれ?お客さんかな?」

中からは小太りの人の良さそうなおじさんが出てきた。

おじさんすげェッ!!

そしてその後ろに・・・・

 

 

「「「「・・・・・・・あ」」」

「あれ?ゴン君たちのお知りあいでしたか」

「「「!?」」」

「ゴン!クラピカ!レオリオ!!」

 

なんで中から出てくるんだ!?あ!!

「もしかしてお前らもうキルアに会えたのか?」

俺が聞くと皆渋い顔になった。

 

「なんだ違うのか?」

「うん。まだなんだ。この門を開けられるようになるまで先には進まないって決めたんだ!」

ゴンが力強く言う。意地っ張りなところは本当にジンさんそっくりだ。

「まだ1の扉も開けられないけどこれから頑張って鍛えて開けて見せるんだ!」

ガッツポーズで気合を入れてるゴンを尻目に、俺はこの扉の重さを伺い見てげんなりする。

 

「げぇ、そんなに重いのか?コレ」

「あぁ俺が押してもびくともしねぇや!」

「威張んなよレオリオ」

爽やか過ぎるレオリオに呆れた面持ちになる

「いやぁ〜ここまで動かねぇと逆に清々しくてな」

アハハハハーとレオリオが後頭部をかく。

とんでもなく重いらしい。でも困った。

「今日中に俺イルミに会わないと。用事あんだよなぁ」

 

「「「えぇ?!アイツと?!」」」

 

「おぉー息ぴったり!」

いつもながら素晴らしい!と手を叩く。

「イルミぼっちゃんとお知り合いで?」

今まで黙って俺達を温かく見守っていたおっちゃんがそっと俺に尋ねた。

「あぁ、すみません。俺って言います。自称イルミの友達です」

俺が遅ればせながら挨拶すると、おっちゃんはほんわかした笑みを浮かべた。

「お友達ですか!嬉しいですネェ。あぁ、私はゼブロと申します。ここの守衛です」

「御丁寧にどうも」

ぺこりと頭を下げられたので此方も下げ返す。

なんともゾル家の門前で行われるには和やか過ぎる光景だ。

 

「ところでゼブロさん、ここが試しの門なんですね?」

「はい。そうです」

「んで、ここから入らないと”ミケ”ってやつに殺されると」

「そうです。良く御存知で」

・・・マジか。嘘であって欲しかったのにぃ。

まぁイルミがそう嘘つくタイプじゃないだろうことは解ってたんだけどさ。

もし嘘だったらここ通らないでイルミのとこまで一飛びなのに。

 

「・・・ミケって何ですか?」

「ここの番犬です、完璧に訓練された狩猟犬。まず、主人以外の命令は聞きません」

「・・・しゃーねーな。・・んじゃ、俺ここから入ります」

それ以外に方法が無いならしょうがない。

 

潔く決めるに周りが焦る。

「え?大丈夫なんですか?」

「そうだぜ。お前なんか折れそうだし」

レオリオが心配げに此方を伺う。

「とりあえずやってみるさ」

自信ありげににかっり笑ってやる。

 

鎌を肩に担いで扉に両手をかける。

ぐっとちょっと力をいれても動かない。

・・・・・はぁ、本気出すか。

全力で扉を押す。

「おっも〜〜〜〜ぉ!!!」

 

ぎぎぎぎぎぎぎ〜〜〜〜ドォン!!

 

「ぃよっしゃ〜〜〜!」

扉から手を離してゴンたちに振り向いて、グッと親指をたてる。

 

「「「スゴッ」」」

「素晴らしい!」

 

「ふぅ・・・!どうだ!!開いただろ!?」

「すごいや!!」

ゴンは無邪気にはしゃぐが、クラピカ、レオリオの2人は無言で口をぽかんと開けている。

どうだ!頑張ったんだぞ!?・・・って!

 

どおぉぉん・・・・

 

「・・・・・閉まっちまった〜〜〜!!!」

やべぇ俺痛い人じゃん。馬鹿の子じゃん!!

うあぁ〜〜〜と頭を抱える。

 

「凄いですね。すばらしい。初めで3まで開くなんて」

「・・・・・・16トン・・・」

クラピカがボソリと呟いて、レオリオは冷や汗の量が増える。

しかし、そんなことには気付かずには落ち込んでいる。

 

「あ。そうだ。蹴って開けちゃえば?」

ゴンがいいこと思いついた!とばかりに瞳を輝かせて言う。

「・・・・・ナイスアイディア、ゴン」

俺は腕力より脚力に自信がある。てか、もう腕だるいし。

普段でさえトン単位の錘をつけているんだから、なんとかなる気がする。

 

「ゼブロさん!蹴っても言いですか?!」

「え、えぇ、いいですよ。でも、蹴るなんて方は初めてです」

「おぉ!俺ってば記念すべき第一号!?ぃやった!んじゃ、行きまーーーす」

 

ドン!!

 

「あ・・・・・」

「「「「あ」」」」

 

開いた・・・けど。1の扉の表面がへこん

しまったぁぁぁぁ!!!壊した!?

・・・・イルミに謝らないと。

って!また閉まる!!!

「あ、謝りに行ってきます!!キルアにも会ってくるから!又な!!」

そういっては颯爽と中に向かって走り去った。

 

 

「へ・・・へこんだよな?」

「へこんだな」

「・・・うん」

外でゴンたちが青くなっているのも知らずに。

 

 

 

 

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20051006