俺は今、イルミと並んで試しの門へと歩いている。
今日くらいはと、イルミが送ってくれているのだ。
途中、デンジャラスな地雷ゾーン等があったが、なんとかクリア。
そして、今俺はなにやら考え事をしているイルミを観察している。
Friends
さっきからイルミは顎に手を当てて無表情で思考の海に溺れていた。
はっきり言ってツマラナイ。
イルミがものすごくマイペースなのは知っているが、こうも無視されるような状態が続くのは面白くない。
だいたい、何を考えているのかさっぱり分からない。
・・・・いや、わかったら凄い。
「・・・・なぁイルミ、おーい?イルミ〜??イールーミー??」
名前を呼んでみよう作戦開始。
「イルミ―イ〜ルーミ〜?長男〜?お兄ちゃーん?イルミ・ゾルディック〜?」
反応なし。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
しょうがない、実力行使か、と鎌を持ち上げようとした矢先。イルミから反応があった。
「ねぇ、。前にオレのこと、友達だって言ってたよね」
「そうだけど?」
唐突な質問に首をかしげながら、答える。
「オレ、やっぱり友達とか良く分からないんだけど」
今まで友といえるヤツは居なかったらしい。
イルミは顎に手を添えて考える素振りのまま続けた。独り言のように。
「オレ、になら、まぁ命半分くらいはあげられると思うよ」
「?」
もう大きな門はすぐそこだ。さっき執事邸を横切ったから。
「でも、半分以上あげられるかどうかは、そのときにならなきゃ分からない」
そりゃーなぁ?誰でも自分は可愛いさ。
「でもに友達だって言われるのは、悪い気はしないんだ。オレ」
長男はやっと俺の方を見た。
大きな目に俺が映る。
悪い気はしないってことは、俺のことを嫌いでないってこと、なら簡単だ。
「じゃぁ、友達でいいじゃん」
すげー簡単!めっさ簡単!イルミが友達をどういうラインで分けるか知らないけど、俺はイルミと公式(?)にお友達になれれば嬉しいし、万々歳だ。俺は。
「・・・・・・・・そういうもの?・・・ちょっと複雑かも」
「何がだよ。いいじゃんかーお友達で!それとも俺のこと嫌い?」
イルミはふるふると横に首をふる。
「じゃーいいだろ。イルミはどうかしらないけど、俺のお友達条件は、俺が相手を気に入ってて、相手も俺を嫌いじゃないことだから!」
そう言って笑うと、イルミはコトリと首を傾げて、そのままシーキングタイムに入ってしまった。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「うん」
自己完結ですか?!
「・・・・・じゃぁ、オレとはトモダチ、ね」
「!・・・おうよ!」
なんだろう、無償に嬉しい。じわじわと喜びが体を支配する。
・・・・・・ィヨッシャ―――!!イルミ、お友達にゲット!
うきうきしていると、早くもためしの門までついてしまった。
全力なんて疲れることはせず、手加減してそっと1の門を開けて外に出る。
もちろんイルミからブーイングがきたが、無視!!
俺はこれからネテロじぃちゃんと話すためのエネルギーがそりゃぁもうたくさんいるんだ!!
あの狸じじぃ、マジに疲れるからな!痛いトコばっかつつくし、鋭いから下手なこと言えないし!(言い訳
「それじゃ、、何かあったらすぐ言うんだよ?」
腰をかがめて、ちょうど以前キルアにやってたみたいな体制で、俺の頭の上に手を置いて注意するイルミ。
「わかった。携帯変わったら、すぐ教えるし」
「うん」
「イルミこそ、メールとかしてよ」
「メール?・・・・・・・・・・・わかった」
なんだよ、その間は。
「じゃ、お世話になりました」
「またおいでよ。母さんたち喜ぶし」
「もちろん!」
しかし、着せ替えは遠慮したいと、微かに思ったり。
「あ。そうだ、はいコレ」
ぽとん、と親指サイズの小さなビンを渡される。中には透明な液体が入っている。
「何コレ?」
太陽に透かしたり、しげしげとビンを観察する俺。
「あぁ、ただの毒だよ」
「へぇ・・ただの・・・どく・・・」
「そう」
・・・・ん?
「どくって毒?ポイズン?!」
♪言いたいことも言えないこんな世の中じゃ・・の後に続くポイズンと同意語?!
「そうだよ、1mlで鯨が動けなくなる神経系の毒。針付きだから、何かあったら迷わず刺すんだよ?」
・・・・・・・コワッ!!
「なんてモン渡してくれてんだよ」
「だって、親父が、これくらいじゃないとダメだって言うからさ」
シルバさん?!
「俺は虎レベルあれば大体平気だと思ったんだけどさ。オレ達レベルのヤツだと効かないしね」
「・・・・・・・ありがと」
「どういたしまして。あとでナイフにも塗っとくといいよ」
「・・・・おう」
極、極普通に危険な会話がなされています!!
まぁ、俺を心配してくれるんだから礼は言うし、ちゃんと使うけどさ。
「じゃ、俺そろそろ行くな?バス、来たみたいだし」
「うん。わかった」
そうです。バス。ゾル家観光バス。
これを使わない手は無い。
慌てふためく乗客たちとか面白いかもしれないし。
「またな」
そういって後ろを向こうと思ったら、イルミに腰を引っ張られた。
「?」
「気をつけてね」
耳元でそう聞こえたと思ったら、軽く頬にキスをされた。
ちょっと驚いている隙に、イルミは踵を返して門に手をついて、
「じゃあね」って言って中へ消えていった。
俺はとりあえず手を振ってお見送り。
「なんだか友達っつうより弟扱いな気ぃするなぁ」
ポリっと頭をかいた。
そのあと訪れたバス観光一同は当然のごとく、ゾル家前に突っ立っている、
大鎌をもったに驚き、怖がり、ぷちどころじゃないパニック状態になった。
慌てて引き返そうとする一行に「あ。待って、乗ります」と言った瞬間、面白いほど全員が固まり、あまりの面白さには噴出した。
20051130ゾル家終了。