見上げた飛行船からは、よく知った狸じじぃ・・・

じゃなくて、ハンター協会最高責任者であらせられるネテロ氏が降ってきた。

数十メートルの紐なしバンジーに平然としてられるなんて・・・・・じいちゃん足ものっそい丈夫だったんだね。

 

 

 

ゆでたまご。

 

 

 

俺はネテロじいちゃんの知り合いってことで目立ちたくなかったから、こっそり隠れて様子を伺った。

サバイバルのおかげで気配の消し方は完璧さ!

てか完璧じゃねぇと死ぬしな、魔獣だらけの森なんて・・・すっぱすぎる思い出だ。

修行は厳しいものなのさっ・・・!

 

ちなみにネテロじいちゃんは俺のじいちゃんの友達だ。

俺はちっちゃい頃からずっとじいちゃんに引っ付いてたから、ネテロじいちゃんともちっちゃい頃からの知り合いだ。

俺には第二のじいちゃんって感じ。

 

 

 

ネテロじいちゃんの配慮でさっきの試験は取り消し、再試験をすることになった。

なんでも「ゆで卵」らしい。

 

飛行船に乗って着いた場所には、ものすごい谷・・ってか崖があった。

 

「安心して、下は深ーーい河よ。流れが速いから、落ちたら数十km先の海までノンストップだけど

・・・安心してて良いんですかー?

思わず突っ込んだのは俺だけじゃないと思う。

「それじゃお先に」とメンチさんは谷へ軽〜くダイブして行った。

ネテロじいちゃんの説明曰く、クモワシの卵を取りに言ったらしい。

んで、それが試験だと。

 

説明を受けて俺は鎌を見下ろす。

・・・・鎌、邪魔だよなぁ。

さすがに片手はキツイものがあるだろう刃物を持ってて糸を切ってしまっては大変だし。

そう思って俺は木蔭に隠れた。俺の鎌はそこら辺に置いておいても3メートル以上離れると手の中に戻ってきてしまう。

じゃぁどうするかというと、ちょっと特殊な方法でしまう。

どんな方法かって言うと鎌の質量云々を無視したもの凄いわけのわからない方法で。

左手にしている黒い石の嵌ったシルバーの指輪。これの中に意識を集中すると・・・

 

シュルリ・・・

 

あ〜ら不思議。黒い石に鎌が収まる。

本当にしゅるっと。本当ブラックホールに水みたいな(微妙な例えだな)

これは鎌と素敵に離れられなくなってから、あまり時間も経たずにできるようになった。

結構便利だったりする。両手使いたいときとか。

 

 

もそもそと物陰から出てくると、丁度メンチさんが戻って来たところだった。

 

「あーよかった」

「こういうのを待ってたんだよね」

キルアとゴンが待ってましたとキラキラした顔で言う。

「走るのやら民族料理よりよっぽど早くてわかりやすいぜ」

ナイスな発言だレオリオ。ただその発言はお馬鹿にみられる可能性ありだぜ?

そうやってそれぞれ活き活きした顔で飛び込んでいく。

皆素敵だなとか思ってたらノリ遅れた。

ハッとして、あわてて飛び降りる。

 

びゅうびゅうと風を斬る音とちりちりとする肌。

やがて見えてきた糸をしかっりつかんで、器用に卵をひとつ拝借する。意外と小さい。

登るのが面倒だった俺は糸の上に立って自慢の足でジャンプする。

「おりゃっ」

糸の反動で跳ぶ。俺の脚力+糸のバネをもってすれば、おそらく上までいけるだろう。

スタリと着地してニコリと笑ってメンチさんに卵を差し出す。

メンチさんも「さすがね」と笑い返してくれた。

 

 

ほくほくと、卵が茹で上がるのを待っていると、ネテロじいちゃんが、どこからともなくやってきた。

「ほほほ、大きくなったのぉ」

「ネテロじいちゃん・・・;」

目立つ帰って来方をしてしまった所為か盛大にバレた

何モンだアイツ的な目があちこちから向けられる。き、気まずい。俺はそっと眉をひそめる。

 

 

「随分修行を積んだみたいじゃの」

にっこりと好々爺のようにネテロが言う。

しかし俺は知っている、中身は狸であることを!

「や、まだまだ。ネテロじいちゃんほどじゃないよー」

「ほほっ、何、頑張れば強くなれるじゃろうて(自力で念を見つける日もそう遠くはあるまいて。楽しみ楽しみ)」

ネテロがそんなことを思っているとは露知らず、自分をじっと見つめるネテロには不思議そうに首を傾げる。

ネテロは上機嫌で髭をなでつけると、「まぁ、積もる話はあとで聞くとするかの」とふらりと行ってしまった。

 

 

 

2次試験 メンチのメニュー合格者42名。

 

クモワシの卵は絶品でした。

 

 

 

 

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20050922