「カタカタカタカタ・・・・・」
・・・・・えっと・・・人語は喋れますか??
針人間
は目の前の男のあまりに痛々しい顔をみて、自分が「痛い」顔になっていた。
う〜わ〜痛い!痛いよ!お兄さん!!
不躾かも知れないがついつい凝視してしまう。
「カタカタカタカタ・・・」
沈黙・・・いや、カタカタが痛い。
とりあえず、話し掛けてみるか。俺の相方サンに・・・。
俺は腹を括って口を開く。男は度胸が肝心だ。
「えっと、初めまして、俺っていいます。・・・よろしく?」
「カタカタカタカタカタカタ」
「・・・えっと。なんか2人でゴールしなきゃならないらしくて・・・えっと名前教えて貰えまセンカ?」
「カタカタカタカタ・・・・・」
こっ・・・・怖い!!怖いよ!どうする!?
よっしゃ!困ったときは壁をぶち壊して一直線に進むのだ!
って俺に残された道はそれだけか!?
が一人百面相していると、カタカタがやんだ。
顔を上げると男がこちらを見ている。
「・・・・・・?」
「っ・・・・・・・・・・・すっげぇ美声!!!」
は男が喋ったことより、自分の名前を呼んだことより、男の外見にそぐわない美声に驚いた。
「うわーお兄さんもっと喋ったほうがいいって!お兄さんの声かなり素敵デスヨ?!」
「・・・・・ヒソカの言ってたとおり・・・変だね君。」
騒ぐを尻目に男はマイペースだ。
ん・・・・?
「ヒ・・・ソカ・・・?っていいマシタ?お兄さん」
「うん」
「てか、アイツ変とか言ってやがったのか!ショック!」
あのヒソカにそんなことを言われるとは、かなりの大ダメージだ。
「ギタラクル」
「・・・・へ?」
マイペースな男が聞き覚えの無い単語を口走る。
「俺のこの姿の時の名前、ギタラクル」
名前教えてもらえたー!!とかちょっと感動しつつ疑問を一つ口にする。
「この姿??」
「うん・・・まぁ君にならいいかな」
そういって顔じゅうに刺さった針を抜いていく。
ズルッズルズルッぐちゃっ
音が生々しいデ―――ス。
すべての針を抜き終えると、ビキビキを凄い音を立てながらギタさん(勝手に略称)の顔が変わってゆく。
そして現れたのは、黒い大きな瞳とさらさらストレートが印象的な綺麗なお兄さんでした。
「うっわーーギタさん美人!!!」
「・・・・・・・・・・ギタさんて何?」
ギタラクルは「ギタさん」と「美人」どちらを聞くか迷ってから尋ねた。
「あだ名?ですけど・・・・ダメですか?」
「はぁ・・・・いいよ別に、オレのホントの名前はイルミ。イルミ=ゾルディック。敬語は気持ち悪いから要らないから」
「フレンドリー!それじゃイルミって呼ぶな。んでさっきの格好のときはギタさん」
にこにこと上機嫌にが言う。
「改めて、よろしく、イルミ」
「・・・・・ホント、君変だよ・・・ゾルディック知らないの?」
コトリと首を傾げるイルミはとても可愛らしい。
「知ってるぜ?暗殺一家だろ?有名な。たしかククルーマウンテンに住んでるんだっけ?」
「・・・・・・怖くないの?」
大概、驚くか怖がるかするんだけどな。とイルミは思う。
目の前の男は気にした様子も無い。
初めてに近い反応に、イルミは目の前の男を観察する。
「んーだってイルミは俺を殺さないだろ?」
「うん。依頼は来てないよ」
質問に無機質な声で淡々と答えるイルミからは、悪い感じはしない。
「だったら怖くないよ。殺される側になったら怖いかもだけどさ。イルミいい人そうだし」
「・・・・いい人、そう・・・・?」
「とりあえず!先、進もうぜ?」
思考の海に入っていきそうなイルミの手を引く。
そしてセンサーの上に手を乗っける。
すると重たそうな音を立てて、達から見て左側の壁に通路が現れた。
「よっしゃ!行こう!」
は通路の中へと進み出す、思考の海から帰ってこないイルミの手を引いて。
20050924