扉の向うには、ものすごい騒音の原因である巨体の男。

そして、見知った女性がいた。

・・・俺、この試験大丈夫かな・・・?

 

 

 

びっくのうず

 

 

 

あぁ〜なんでこんなところにメンチさんが?!

てか料理ですか?マジですか?

あのメンチさんに美味しいって言わすって・・・。

かなり絶望的な試験内容に、俺は思わず呆然と立ち尽くした。

 

 

「オレのメニューは豚の丸焼き!!オレの大好物。

森林公園内に生息する豚なら種類は自由、それじゃ2次試験スタート!

 

 

はわっ始まっちまった〜えっと豚ブタ・・・・。

とりあえず、簡単な料理を提示してくれたおっきい人に感謝しつつ森の中に入っていく。

あまり時間もかからず、比較的メンチさん達の場所から近いところでブタらしき物体を見つけた。

これ幸いと近寄っていく・・・

・・・・・ってデカっ!!!鼻でかすぎ!!

通常のブタより大きいし、鼻とか正面から見たら90%鼻ってくらいデカイ。

・・・ってか俺めがけて突進中?!

どどどどど・・・・!とイノシシの勢いで迫ってくるブタ。ってか鼻の大群。

 

仕方なしに、俺は先頭の一頭にねらいを定めて、鎌じゃ切れちゃって丸焼きにはできないから、跳んでブタの頭に一発かかと落しをお見舞したら、あっさりKOしてくれた。

よっしゃ!あとは焼くだけっ!!

ジンさん直伝サバイバルの基本、「火のおこし方」をマスター済みの俺はさっさとブタを焼いて、ひょいっとブタを持ちあげて試験官のもとへ急いだ。

 

「・・・・・ってアレ?」

俺一人?他の人は・・・?もう終わっちゃったとか?!

 

もとの場所に戻ると皆いなくて、あせって試験官のところまで行くと。

「お、1人目は君だね」って言われた。なんだ、皆まだだったんだとほっと旨をなでおろす。

焦って損した。焦りすぎたせいで1番だけどな。

大きい人は驚いたことに2・3口でブタを綺麗に骨だけにして、「うん!美味しい!」っと軽く合格してしまった。

いいのかハンター試験。

 

 

ー!」

「うわっ」

がばり、と、すっかり忘れていたメンチさんに後ろから抱きしめられる。

 

「お・・・お久しぶりです」

「えぇ、久しぶりね」

にこにことメンチさんはご機嫌だ。

 

実はメンチさんは俺の元お客さまだ。珍しい食材を運んでくれって依頼で、なんだか変な奴らの攻撃にやたらとあったけど、無事届けた。

俺のことを気にってくれたみたいで、それからも何度か依頼をうけてる。

初めて会ったのは仕事を始めたばかりの4年前、ネテロじいちゃんの紹介で。

4年前16歳の俺は、今より随分ちっちゃくて、メンチさんの腕にすっぽり入っていた。

でも、流石に今の俺はヒールを履いていようともメンチさんよりデカイですよ?

てか、今でも子供扱いですか?1個しか違わねぇのに、歳。

すっかり弟扱いの俺。

「あぁ〜やっぱり抱き心地がいいわぁ〜vv」

「・・・・・それはどうも」

喜んでいいのか?悲しい気もするのは何故だ。

 

「また何かあったら依頼するわね!」

にっこりと言ってくれる。やっぱ信頼されるって嬉しいよなぁ。

「はい」

メンチさんを振り返って、自然と笑顔で返す。

「ん〜もうっ!か〜わいい〜〜!!」

かっ・・・かわいいって;嬉しくないでーす。

完璧弟扱い&可愛い扱いで俺はかなり凹む。最近背も伸びて少しは男らしくなったと思ったのに!

 

俺が脱力していると、どどどどっという地響きが聞こえてきた。

ん?とその方向を見るとブタを担いだ大勢の受験生。

 

「・・・・受験生なめてたわ」

メンチさんが俺を抱きしめたまま呟いた。

・・・・離して・・・くれねぇよな・・;;

 

 

ブタの丸焼き、70名が通過。

 

 

ちなみにメンチさんが俺を離してくれたのは、終了のドラを鳴らす直前でした。

・・・皆の視線が痛かった。

泣いてもいいですか。

 

 

 

BACK   TOP   NEXT 

20050921 メンチさん炸裂。

「かわいー」は主人公の仕草や行動に関して。