「・・・何?」

「似合うよ」

「・・・サンキュ」

 

 

 

 

水見式

 

 

 

 

俺は今ちょっと傷心中だ。

何故かって?

キキョウさんですよ。

 

俺は朝、日がやっと昇ったくらいの朝早く、

キキョウさんの素敵な笑い声とおはようの挨拶で目が覚めた。

ぼんやりしている間に風呂に押し込まれ、あっと言う間に着替えさせられてしまった。

「まぁ!やっぱりこれだわ!!よく似合うわ!!色っぽくてよ!」

「・・・・・・・はぁ」

「うふふふ、私の目に狂いはありませんわ!!」

「・・・・有難う御座います」

「あらいいのよ?お礼なんて!それじゃ、絶対ぬいじゃダメよ?

「ハイ!!」

俺はこのとき初めてキキョウさんから殺気を放たれました。

・・・怖かったです。

「じゃぁね、あとで皆に見せてあげなさいね」

と、キキョウさんは嵐のごとく去っていった。

 

そして、冒頭のイルミにこっそり励まされたのだ。

 

俺の今の格好は所謂着物fだ。

白の着物の上に大きめの薄手の着物を羽織る形。

柄は黒地にスミレ色で川のように流れる曲線に、

白い花びらが散っていてとても綺麗だ。

綺麗・・・なんだけど・・・・・

女物なんだよなぁ」

「え?そうなの?」

俺のがっくり零した一言にイルミが尋ねる。

「当たり前だろ?これ振袖だし。ホラ、ここの袖が長い着物は、未婚の女性だけが着ることを許されてるんだ。男はこんな綺麗な柄もの着ないしな」

「へぇ〜でも、カルト男だよ

 

「・・・・・・・・」

 

「い、いや!カルトは似合ってるからOK!本人も好きで着てるんだろ?!」

「さぁ?でも、それでいくと、も似合ってるからいいんじゃない?」

「・・・・・そうか〜ぁ?」

複雑だ。

「そう。ってことで修行ね」

・・・相変わらず、さくっとしてるな。

 

 

 

昨日と同じように軽く朝食を済ませ、今日の修行に取り掛かることになった。

「ちょっと待ってて」

というと、イルミは空のグラスを持って風呂場のほうへ消えた。

「?」

「お待たせ」

勝ってきたイルミの手には水のたっぷり入ったグラス。

 

「何ソレ?」

はもう練できるからね、水見式だよ」

そう言いながら、ちょんと水に葉を浮かべる。

「水見式?」

「教えてあげたでしょ?念には系統がある」

「あぁ、えっと強化・変化・操作・具現化・放出・特質・・だっけ?」

「そう、それを見分けるんだよ」

「へぇ」

しげしげとグラスを見つけるが、特に変わったことは無い。

「どうすんだコレ?」

「グラスに両手をかざして練をすると、それぞれの系統にあった変化が、水や葉に起きるんだよ」

「へぇ〜すげぇな」

「ハイ。やってみて」

「俺何系かな〜」

ちょっとわくわくする。

 

「具現化は無いね」

「・・・なんで?」

「具現化系は神経質で几帳面な奴が多いから」

「あぁー。俺几帳面ではねぇな」

「でしょ?」

「そういやイルミは何系?」

「秘密」

超即答。

 

「何で」

「他人に自分の系統を教えるのは、ある意味で命取りだから。自分の系統を知られることは、弱点も同時に知られるからね」

「えっ!じゃぁ俺これから知られちゃうじゃん!俺不利?!」

「しょうがないよ、の系統が分からないと、系統別訓練ができないからね」

「ぅ〜」

なんか釈然としない。

「ほら、はやく練して」

「はぁ〜い」

イルミにせかされてグラスに手をかざす。

「そう、それで練」

「おう」

ドキドキしてきた〜!

一つ深呼吸して、心をを沈める。

よし!

 

 

しゅっ

 

 

「・・・・・・わぉ」

俺に起きた反応は、聞いたことも無いことだった。

・・・・・・水がグラスから逃げるようにグラスから1センチくらいずつ浮いているのだ。

「・・・・イルミコレ何?」

「・・・・・ちょっとやめてみて」

「おう」

やめると水は元通り重力にしたがってグラスに収まっている。

「・・・・もう一度」

「はい」

練をすると、やはり水はグラスを避けるように身を縮める。

うわ〜グラス嫌われてんなぁ〜。いや、むしろ俺が嫌われてる?

「決定。は特質。ちょっと水が減ってるような気もするけど、強化系だと水浮いたりしないからね」

そんな・・・冷静ですな。

「でも、どんな能力かわからないな」

「そうだな」

俺にもさっぱりだよ。

「ん〜じゃぁ、とりあえず練したままオレに触ってみて」

「うぇ?!」

何が起こるかわからんのにか?!

「ほら早く。ちょっとやそっとじゃオレ死なないから平気だよ。ほら」

「・・・・・わかった」

恐る恐るイルミに触れる。

 

「!?」

触れた途端に、ばっとイルミがオレから間合いを取る。

「・・・・どうした?」

俺はイルミに触れても何の変化も無い。

イルミは俺をみてびっくりしてる。

・・・イルミのびっくり顔って結構かわいいよなぁ。

と、しばらくイルミを傍観する俺。

 

「・・・、ちょっと纏して」

「?おう」

すたすた近寄ってきながらイルミが言う。

なんだもう復活しちゃったのか〜つまらんなぁ。

今度はイルミから俺に触れる。

「・・・・・」

イルミは黙って顎に手をやって考えているようだ。

「・・・やばかったらすぐ逃げてね」

といったかと思うと、イルミが俺に手をかざした。

 

・・・・が、何も起こらない。

「・・・・・・何?イルミ」

ひたすらイルミは驚いている。

俺は訳がわからない。

 

「今、ちょっとに向かってオーラを飛ばしてみたんだ

「へぇ〜〜〜〜・・・・って!俺攻撃されたの?!

「オレはそうしたんだけど・・・」

何?どういうこと??

「つまりの能力は念の無効化・・・かそれに順ずるものだね」

「へぇ・・・けっこう便利?」

「うん。だけど、こういう能力者は数が少なくて狙われやすいから、絶対人に言ったらダメだよ」

屈んで俺の顔の前にぴしっと人差し指を立てるイルミ。本当に先生っぽい。

「人前で使うのも極力避けてね」

「ハイ!もちろん!」

「じゃぁ残り、この能力をどんな風に発展させるのかはにまかせるよ」

「おう」

「とりあえず、これからの修行は各系統の特訓と、念の応用かな」

「おーう」

「じゃぁ今度の修行からは、親父とかにも相手してもらうから」

 

 

 

・・・・・俺、生きてられるかな・・・・?

 

 

 

 

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20051029