「・・・・・・・・」

衝撃お宝映像です!!

俺は心の中でシャウトした。

 

 

 

寝顔と迷子。

 

 

 

俺は昨日早くに寝たせいか、珍しくも自力で目を覚ました。

意識が浮上して、ゆっくり目を開けてまず視界に入ったのが・・・お宝映像イルミさんの寝顔!!

うわ〜イルミって寝るんだな〜!!(失礼

 

いつの間にやら、やっぱり俺はイルミにホールドされていたので動けない。

ので、面白がりつつ、イルミ観察を続ける。

癖になってもう寝るときは絶が出来るようになってしまった。

イルミの特訓の成果ですな。とか思いつつイルミを観察する。

「・・・・・・・」

大発見です。

 

寝息がしません!何故!?

 

規則正しく呼吸はしているものの、この近距離で寝息がしない。

やっぱ訓練かな?まぁ暗殺者が歯軋りとかしてるの想像つかないもんな〜。

てか、敵に一発で捕まるね。

・・・イルミ、やっぱ美人さんだよなぁ〜。

多分キキョウさん似だな。シルバさんに似てもカッコイイだろうけど、はっきり言って似てないもんなー。

お肌すべすべっすな。てか、黒い髪綺麗だよなぁ〜。しかもさらさらストレート!

とか思いつつじっと見ていると、

 

「・・・・何?

 

「・・・っ!」

イキナリ声をかけられてビビリました。

「おはよう」

「お、おはよう」

ぱちりと目をあけるイルミ。び、びびった。

 

「珍しいね。俺より先にが起きてる」

「俺もそう思うよ」

「で?どうしたの?」

そうやら俺が見ていたのに気づいたらしい。

「いや、動けないから、イルミを観察してみた」

「あ、そうか、ごめん。言ってくれれば、すぐ起きたのに」

「いや、だって悪いじゃん」

「別に?」

起き上がりながら会話する。

 

ん〜と伸びをしつつ、イルミに声をかける。

「今日は何の修行?」

「んーまずは昨日の復習。もっと移行を早くしないと瞬殺されちゃうからね」

「う、うぃーっす・・・」

「午後はゼノ爺さんとこ行って」

「へ?」

「俺、今日、午後から仕事だから」

「へぇ〜何教わればいいんだ?」

「”円”って応用技だよ。そういうの達人だから」

「わかった」

 

そのあとイルミはシャワー&着替え。俺は着物の着崩れを直して顔を洗った。

・・・着たまま寝てもしわ一つ無いなんて・・・シルクすか。

 

「今日はキキョウさん来ないな」

平和でいいんじゃない?

・・・・イルミくん!ママにむかってっ!・・・まぁ、そうだけどもさ。

「いいじゃん、それ似会うし」

「サンキュ;そういや俺の服は?」

「多分クリーニングに出されてると思うよ」

・・・・イルミから”クリーニング”なんて単語がっ!!

「別にクリーニングとかよかったのに」

「いいじゃん、綺麗になって」

「・・・あのコートナイフとか仕込まくりだぞ?

「大丈夫、うちのメイドがやってるから」

「・・・そ、そう」

「さっきご飯頼んだから食べたら修行ね」

 

それからはいつものスパルタでした。

 

 

「じゃ、オレ仕事行ってくるから。いい子で修行してて」

い・・・いい子って;

俺は今、ゾル家の屋敷の出口付近にて、イルミのお見送りだ。

「・・・気ぃつけてな」

「誰に言ってるの?」

何の悪気もなしに首を傾げるイルミ。

ハイそうですね!!

「大丈夫だよ、今回はちょろいから」

「じゃぁ早く帰ってくるんだ?」

「そうだな・・・まぁ明日までには帰って来れるかな」

「わぁった!それまではゼノさんに見てもらえば良いんだな?」

「そういうこと」

「いってらっしゃい」

「・・・・・・・・・行ってきます」

・・・イルミは通路の奥に消えた。

 

 

「さて!ゼノさん探さないと!!」

 

 

俺は気合を入れて、まだまだ全く把握できていない屋敷の中を

ゼノさんを探しに出発した。

 

 

 

 

 

 

 

何というか・・・迷子です。

 

何か癖で、イルミが「仕事いく」っていうから玄関(?)まで見送りしちまったけど、

俺、この屋敷の内部、これっぽっちも理解してなかった。

なんかすごい驚いてたのは、こういうことだったのか?イルミ。

 

コツコツと自分の足音だけが広すぎる廊下に木霊する。

・・・・虚しくなってきた。

鎌使おうにも、ここの家の人ら、皆して予告しないと攻撃しかけてくるからなぁ。下手したら殺されるって。

と、目の前に大きな扉発見。中に誰かいるっぽい。

よっしゃ案内してもらおう。もしくは道を教えていただこう!!

藁にも縋るとはこのことか?

 

コンコン

「入れ」

中から聞こえてきたのは渋ーい声。

うわぁお・・・・・・・シルバさんですか−。大黒柱引き当てたよ俺。

しかし怯んでいる暇はない!ゼノさんを待たしちゃいけないのだ。

「失礼します」

「何だ、。どうかしたのか?」

と、こないだの巨大犬にお手をさせているシルバさんか振り向きつつ聞いてくる。

「・・・・・・それよかシルバさん、そのワンコ」

突っ込まずにいられようか。

「あぁ、躾をしてるんだ。お前のおかげでえらい従順だ。魔獣に近いだけあって頭もいい」

と上機嫌だ。鼻歌でも歌いだしような勢いだ。

「・・・そ、そう」

「そういやその格好はキキョウか?

「・・・・・・・・・・・・っ!!」

忘れてた―――っ!俺まだ「ぬいじゃだめよ?」有効につき、着物のままだったー!

し・か・も振袖-―――!!!

「フン、なかなか似合うな」

 

ドカ―――ン!!

 

うわぁ〜うわぁ〜〜〜どうリアクション取ればいいよ!?

「ん?イルミは一緒じゃないのか?」

「へ?!・・・あぁ、今さっき仕事に行ったけど」

リアクションに困っていた俺はシルバさんから話題変換されて助かったやら驚いたやら。

 

「ほぉ、一人でここまで来れたのか」

偉いな、と父親の笑みなシルバさん。

「や、迷った末、たどり着いたのがここだった・・みたいな・・・」

「迷子か」

「い・・・イエス」

あぁ恥ずかしい!居たたまれないよ。この歳で迷子になろうとは!!

「・・・・しょうがない、俺が連れて行ってやろう。どこに行きたいんだ?」

「マジで!?ぃよ!さすがシルバさんvvえっとゼノさんのところに行きたいんだけど・・・・」

「親父の?あぁ、修行か?わかったついて来い」

「助かった―――っ!」

頼りになるねパパン!

 

 

そして約20分後、無事ゼノさんの下へ到着。

シルバさんは風のごとく走り去っていきました。有難うパパ。

 

 

「失礼しまーす」

重そうな扉を押しながら声をかける。

中はゼノさんの私室なのか、落ち着いた雰囲気で、

骨董などが、うざったく無いくらいに品良くおいていある。

「おぉか。入れ入れ」

とベランダの方で日向ぼっこちゅうのゼノさんから声がかかる。

近寄っていくと、まじまじ見られた。

「・・・・・・・・・ふむ」

「・・・・・・・なんですか?」

着物について突っ込まれたら如何しようと内心冷や汗だらだらだ。

 

「なかなか修行は順調なようじゃな。さて、イルミから聞いておる。”円”じゃったな?」

よっこらしょ、と腰を上げながらゼノさんが言う。どうやら俺の格好じゃなくてオーラをみていたらしい。

「よ、宜しくお願いします」

「うむ。円というのはじゃな、オーラを薄く伸ばしてオーラの範囲に入ったモノの形や動きを感じ取る技じゃ」

「うわー、便利ですね」

「まぁ、覚えるまでが大変らしいがの。さぁやるぞ」

ゼノさんが姿勢を正すので、それに習う。

「まず、纏」

「はい」

「そのもとっているオーラを薄く薄く自分の周りに延ばすイメージで広げていくんじゃ・・・」

 

 

 

・・・・・・そして8時間後

 

 

 

「はぁはぁ・・・・ど、どうです?」

「うむ、合格!」

「ぃやった――――!!」

「じゃが、まだまだ。お主ならもっといけるじゃろうて」

ふぉふぉふぉ・・・とゼノさんが愉快そうに笑う。

「や、これしながら戦うんだし!これくらいで十分じゃないでしょうか?!」

ていうか、これ以上扱かれてはたまらない。

「まぁな。じゃが、日々精進!忘れぬことじゃな」

「うぃーす」

 

ゼノさんは、イルミ同様スパルタでした。

いや、イルミ以上にスパルタでした。

何せ指摘が鋭い鋭い。ビシバシと・・・・。

もう、マジヘトヘトです。

疲れきって座り込んだところで、何か気配を感じた。

 

 

「ただいま」

 

 

「おぉ、帰ったか」

ゼノさん普通に返してますが、

「・・・・イルミ!?」

「うん」

「おま・・・どっから入って来てんだよ」

イルミさん、ベランダ(随分高い)から堂々入って来ます。

「・・・ベランダ?」

「・・・・・・ソウダネ〜」

小首を傾げるイルミに、超笑顔で俺も小首を傾げる。

もういいです。

あれだな、この人らに俺の常識は通用しないな。悟ったよ。

 

 

の修行どう?」

俺をあっさりスルーしてゼノさんに話し掛けるイルミ。

このマイペース人間め!

「そうじゃな。なかなか優秀じゃ。円もとりあえず200はいけるようになったしな」

「へぇ!すごいね

「・・・・そうなのか?」

「まぁ、そうじゃな」

「ぅえぇえ〜〜?!」

初耳ですよ!?皆これくらい出来るのかと思っってたぜ?!

「ちなみに、普通此処までくるのに良くて・・・ん〜・・・1・2ヶ月かかるね」

うそ!?

「そうじゃなぁ、並みの奴なら1年かけても絶対無理だのぉ」

・・・・・何それ!?

の上達の速さは凄いんだよ」

誰か嘘だといってくれ!俺一般人だから!超小市民だからぁ〜!!!

「・・・・・凄いんだよ?」

「念押すなよ」

「だって、顔に全部書いてあるし」

・・・・マジ?

「うん」

あ。マジだ。

 

「ほれ、遊んどらんで、早く帰って休め」

「はーい。有難う御座いました」

「なんの、久しぶりに扱き甲斐があって楽しかったわい」

「・・・・そうデスカ」

 

 

こうして、今日の修行は終了しました。

あぁ・・・いつもの倍の疲労感。

 

 

 

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20051030