ゾル家に来て、早20日目でございます。
じぃちゃん、俺暗殺一家に完璧溶け込んでるんだけど。
キルア1人立ち
系統別の修行に入って、六性図の両隣の操作と具現化は、自分でもびっくりするほど飲み込みが良かった。
だから今は放出と変化の修行中だ。
相変わらず、俺はイルミと修行な訳だけど、場所は前にシルバさんと恐怖の手合わせをしたところだ。
放出系には広い場所の方がいいそうで。
なんとかちっこいオーラを飛ばせるようになって、的に当てる練習をしていると、ゼノさんがやってきた。
「あれ?ゼノさんなんか久しぶりですね」
イルミが無言で入り口の方を凝視するので、見てみるとゼノさんだった。
「ほほっ、そうじゃのぅ。まぁ、それはさておき、ちょいと来てもらえんか?」
と、穏やかだが、有無をいわせない調子でゼノさんが言う。
「どこにです?」
「何、シルバのところじゃよ、イル、お前も来い」
「わかった」
きびすを返すゼノさんに、イルミが続き、俺がその後につく。
全員無表情だ。
・・・・なんか怖ぇなオイ。ご当主呼び出しって。
5分ほどでシルバさんの自室についた。
中にはキキョウさんもいて、ホント何事だよ?ってかんじ。
「おぉ、来たか」
シルバさんは至って普通だが、キキョウさんは心なしか元気が無いように見える。
「どうかした?親父」
口火をきったのは、イルミだった。てか、普通だなお前。
「あぁ、キルアが家を出たぞ」
「・・・ふ〜ん」
「へぇ、キルアがなぁ・・・・」
キルアが家を出たってよ。独り立ちだね〜。
キルアのことなのにイルミ反応薄いなー。
ん・・・・ちょっと待て?家を・・・出た?!
「へ?!ちょっと待って、それいつ?!」
「ん?ついさっきだな」
「マジで?!え?てかゴンとかは?!」
あいつらとは、門の前で不自然に別れたままだから会っておきたい。
「あぁ、あの人たちでしたら執事邸にいると思うわ」
「ぅえぇ〜!?ちょっと会いに行っていいですか?!」
「まぁ待て」
「ぐえっ」
慌てふためいて、きびすを返そうとしたら、シルバさんに首根っこ掴まれました。
そりゃーもう、猫のように。
てか、首!!締まってる!!締まってるって!!!
ぱたぱた、シルバさんの手を叩くと、ふわりと、シルバさんのいつも座っているクッションの山に下ろされた。
てか、シルバさんの隣。うん、座ってってもおっきいねぇ・・・・(逃避気味
「まぁ、落ち着け。お前の足なら間に合うだろう。ここから門までは2時間はかかるさ」
そう言って、俺の頭を撫でる。
「・・・・・・・・・」
「どうした?」
俺がシルバさんを凝視していると、俺を撫でる手を止めて俺を覗き込む。
「・・・・・シルバさん、ホント、パパだよね」
「「「・・・・は?」」」
親子三世代。ハモリ一丁!!すげぇ!!
ゼノさん、シルバさん、イルミがハモり、キキョウさんはころころ笑っている。
「や、俺、親父いなかったから、いいなぁ〜って」
「何じゃ、は孤児じゃったのか?」
「いや、俺産んですぐに両親とも事故で死んだらしいです。俺は祖父に育てられました。その祖父も、もう亡くなりましたけど」
「ほほぅ、なら好都合じゃ」
へ?何・・・?
「、俺の子にならねぇか?」
「は!?」
「お前はなかなかの逸材じゃ、お前さえよけりゃ、わしらがお前の家族になろうて」
「まぁ素敵!そうしなさいな、さん」
嬉々として手を打って喜ぶキキョウさん。
「どうする?」
ズイ、とシルバさんが顔をよせる。
・・・・わぁ〜この家族ホント美形ぞろいね。
てか、キキョウさんは分からないけど、全員猫目。
「あ〜〜〜ぅ〜〜〜・・・・・あの、ですね」
「なんだ」
「すっげぇ嬉しいんですよ。俺、皆、大好きだし」
「じゃぁ・・・!」
キキョウさんが声を弾ませる。
「でも、俺、できれば、じぃさんの家名を受け継いでたいんです。じぃさんの子孫は俺だけだから」
「・・・・・そうか」
残念そうに、シルバさんが顔をはなす。
「、お前もしかしてその髪と目の色は祖父譲りか?」
ゼノさんが聞く。よくわからないが正直にそうですと答える。
「ほほぅ!!」
ゼノさんが、感心した声をあげた。
「知ってるんですか?じぃちゃんのこと」
「知っとるぞぃ。あの変なもん集めるので有名じゃったコレクターじゃろ」
「そうです!まったくもって変なものだらけで、倉庫の掃除させられるたび、変なもんの餌食は俺でしたよ、まったく!」
「あぁ、あの・・・」
シルバさんも知っているらしい。
「はぁ?・・・じぃちゃんてそんなに有名ですか」
「あぁ、まぁ、アレの子ならば、こんな逸材でも頷けるのぅ」
「どういうことです?」
俺が変人だって?俺はまともだぜ?じぃさんよりは!!!胸を張っていえるさ!!
「何じゃ、知らんのか?お前のじぃ様はな、トリップ体質で有名な特質系能力者だったんじゃぞ?」
「まぁ、能力云々は一部でしか知られてないけどな」
「はぁ?!」
じじぃ、能力者だったの?!
「無自覚能力者だが、しょっちゅう、まぁ所謂パラレルワールドか?そこに変なもん取りに行っとったらしいぞ」
や、パラレルワールドは科学的にあるとさせてるけど、ぅえぇ?!
や、たしかに昔、変なとこに連れて行かれた記憶はあるけど、笑顔で何やっちゃってたんだ、あんのじじぃ!!
くそっ!今度の墓参りのとき、これでもかって程愚痴ってやる。
「まぁ、そういうことならしょうがないの。気が変わったらいつでも養子に来い」
ゼノさんは微笑んであっさり引いてくれた。
申し訳ない気持ちと、感謝の意を込めて笑い返す。
ぽん、と、頭に重みがかかって見上げると、シルバさんがまた頭を撫でてくれた。
「・・・俺たちのことを家族だと思ってくれていいからな」
「そうよ!さんみたいな息子なら大歓迎よ!.」
キキョウさんが俺の手をとってにっこり笑う。
「有難う御座います」
暗殺一家が、こんなにアットホームで良いんだろうか。。。
まぁ、いいや、嬉しいから!
「そういえば、お前いつまでバドキアに居られるんだ?」
「あ!忘れてた。俺観光ビザだから・・・あと10日くらいかも;」
「じゃぁ、それまでに修行なんとかしないとね」
今まで口を閉ざして成り行きを見ていたイルミが口を開いた。
「え?でも、延ばそうと思えば延ばせるぜ?」
「、ネテロ会長の用事あるって言ってただろ?」
・・・・・・忘れてた!!
「忘れてたんじゃな」
はっ!!心読まれた!!
「だから、顔にでてるんだって」
はぁ、と溜息をつきながらイルミが言う。
「くぅ!正直者と言ってくれ!」
「まぁいい、そろそろキルも向うに着く頃だ。会うなら会って来い」
「はい、いってきます!!」
イルミも行くかと聞けば、俺はいいというから、俺1人でシルバさんの私室をでた。
なんか、送り出されるのって久しぶり。
・・・・・口もとが緩んじまうよ。
よっしゃ!待ってろ皆!
俺は鎌を取り出してゼブロさんのもとへ飛んだ。
20051113