「ここだよ」

「てか、どんだけ広いんだよこの屋敷」

こんなに部屋までの距離があるなんて・・・っ!

「さぁ?」

「・・・・そーですかー」

わからないくらい広いって?すごいねゾルディック。

 

 

 

お部屋訪問

 

 

 

「入って」

ちょっとカルチャーショックを受けつつもイルミに促されて部屋に入る。

 

中は部屋というには広すぎる空間が広がっていて、そのくせシンプルな感じだった。

入って目に付くのはキングサイズか?ってくらいでっかいベット、奥の棚には、綺麗に整頓された怪しげなビンがびっしり。・・・・・毒だったり?

「てか・・・ここって・・・?」

 

「オレの部屋」

 

「やっぱり?」

それっぽい。

「ここで寝なよ。ベット広いし、修行もスムーズにできるよ」

「いいけど・・・イルミはいいのか?」

「うん」

たしかに俺1人のためにわざわざ部屋を用意してもらうのは申し訳ないっていうか、落ち着かないっていうか。

「けど、部屋でゆっくりできないんじゃねぇか?狭くなるし。」

「大丈夫だよ。・・・この屋敷の中で1人にしとく方が落ち着かないしね」

「何ソレ?」

「まぁ、夜になれば分かるよ」

「・・・??」

何があるんだ??

イルミの意味深なセリフに首をひねる。

 

 

「それより、その鎌、どこかに置いておきなよ。修行の邪魔になる」

「う〜これ曰く付の鎌でさ、俺の側離れてくれねぇんだよなぁ」

「どういうこと?」

「ん〜・・・・ちょっと見ててくれ」

俺はイルミの前に鎌を置いて、ゆっくり後退する。

3メートルほど離れたところで、イルミの前にあった鎌がいきなり消えた。

「!?」

「このとーり」

鎌はばっちりの手の中に戻ってきていた。

 

「・・・・・・便利なのか迷惑なのか分からないね、それ」

 

・・・・ズバリだねイルミ。

「まぁ、コレにしまえるけど」

指輪にしゅるっと鎌を収める。

「・・すごいね」

「まぁな」

いろいろ大変だけどな。

「でもいいの?オレにそんなこと教えて」

イルミだし。あ。でも誰にも言うなよ?」

けっこうコレ切り札なんだから。と念押し。

「・・・・わかった」

 

 

 

そのあと念の基本知識を教わってからは、イルミは読書、俺はベットの上に座ってうつらうつらしてたんだけど、慣れてないせいか、寝そうになると纏がとけそうになるから、ひたすら精神統一をすることにした。

そんなことをしていたせいで、どれくらい時間がたったのか分からないけど、しばらくして重そうな部屋のドアがノックされた。

「入っていいよ」

イルミが承諾する。・・・・誰だろ?

 

「お邪魔するわよ?」

入ってきたのはえ?今何世紀だっけ的すげぇゴージャスなドレスを着た、目のあたりに包帯と機械をつけた女性だった。

機械のせいで顔は良く見えないが、肌の感じからして若そうだ。

「・・・・お姉さんか?」

イルミを振り返って聞く。

「いや「まぁまぁまぁ!!貴方がさんね?!」

イルミが返事を遮るようにもの凄い迫力で俺に詰め寄る女性。

こ、怖い。

「は・・・はい、初めまして、と申します」

「はい初めまして!私はイルミの母のキキョウです。よろしくね!!」

「母?!・・・・お、お若いですね」

「ホホホホホホホホホホ。お上手だコト」

「いや、マジで」

皺一つねぇよ。口元ぐらいしか見えねぇけどきっと美人だよ奥さん。

家族揃って美形らしい。そして夫婦揃って若い。羨ましいったらない。

 

 

「母さん何しにきたの?」

イルミがイスから立ち上がって此方に近付く。

「決まってるじゃない!さんを見にきたのよ!!どの部屋にもいないんですもの、探しちゃったわ!」

「あ!すみません、こちらから挨拶にも伺いませんで・・・」

普通、厄介になる俺から挨拶に行くべきだった。失礼なことしちゃったかなぁと頭を掻く。

 

「まぁ!出来た子だこと!!気にしなくて良いのよ?修行中なのでしょう?」

「ありがとうございます」

。ちなみに、今屋敷には親父と母さん、次男と三男のキルア、五男、あと祖父がいるよ」

「うわぁ、大家族。やっぱ挨拶行かないと失礼だよなぁ?」

すっかり他の人が居ることを忘れていた、というか失念していた。

「いいんじゃない?どうせ皆ここに来るんだろうし」

「・・・・なんで?」

「ゾルディックに客なんて滅多に来ないから、珍しがって皆来ると思うよ」

・・・・そうですか。俺って天然記念物?

「本当お客様なんて久しぶり!しかもこんな綺麗な子は初めてだわ!!」

「・・・・・は?」

両手を組んで楽しそうに言い放つキキョウさん。

綺麗って俺にいうことか?訳わかんねぇー。俺は頭を抱える。

はっ!もしかして髪の色のことか!それなら嬉しいかも。

 

 

俺がちょっと持ち直して顔を上げると、キキョウさんの裾のあたりに黒い布みたいなものが見えた。

不思議に思って覗き込むと、黒い着物を着た可愛らしい子と目があった。

・・・この子が五男かな?女の子にしか見えないけど。

「こんにちは」

俺がにっこり笑って言うと、驚いたような顔をした後、人見知りするのか顔を赤らめて下を向いてしまった。

 

「あら!そういえばこの子の紹介がまだだったわね。この子はカルト。末っ子なのよ」

そう聞いて俺はその子の前にしゃがみこんで視線を合わせた。

「俺。よろしくな。カルトって呼んでいいか?」

俺が尋ねるとこくんと頷いてくれた。かわいいなぁ。

「っ?!」

俺が思わず頭を撫でると凄い勢いでカルトが顔を上げた。驚いたらしい。

「あ。わりぃ」

俺が苦笑して謝ると、顔を赤くしてふるふると首を振った。

 

そんなカルトの様子を見てキキョウさんが声をあげた。

「あら珍しい!カルトちゃんが恥らってるわ!!」

「あ。ホントだ。珍しいね。まぁ・・・相手だしね」

「そうね」

おい、そこの親子、なに訳のわからない意思疎通してんですか!

なんで俺相手だと珍しいことしても納得されんの?!てか人見知りだろ!?ちがうの?

 

 

「あ、あの・・・・・・さんは何で家に来たんですか?」

カルトがか細い声で言う。そんな様子にまたもキキョウがまぁ!と声をあげている。

「ん?最初は仕事で来たんだけど・・・ってその前に、俺のことは呼び捨てでよろしく。敬語もなし」

「えっ・・・えと・・・・・・?」

「よくできました」

上目で戸惑いながらも、ちゃんと要求に沿ってくれたカルトの頭をまたも無意識に撫でてしまった。

気付いて慌ててひっこめる。

「ぁ・・・ごめん、ついな」

俺が謝ると、またふるふると頭を振る。

「ボク、に撫でられるの好きだよ。だから謝らなくていいよ?」

 

っ〜〜〜〜!!

 

くあ〜可愛い弟いっぱいでいいなぁ〜イルミ!!

「そっか」

俺は上機嫌でカルトを撫でる。

「まぁ、仲良しですこと!」

「すっかり懐かれたね・・・や、すっかり懐いたね

キキョウとイルミがそんな様子をみて言う。

・・・・イルミ・・言い直さなくても・・・っ!間違ってないけどさぁ・・!

少々複雑である。

はどんな仕事しに来たの?」

さんはシルバの依頼で来たのよ」

俺への質問を再度するカルトにキキョウがすばやく答える。

「お父様の?」

・・・・・お父様!?素で?!すげぇぞゾルディック!!

初めて素で「お父様」呼びな子をみた俺はちょっと感動した。

 

「そうよ。グレイバッシュを捕まえてきて頂いたの!素晴らしかったでしょう?」

朗らかにキキョウが言う。その言葉にカルトが目を見開く。

「え!?あのAランクの獣が捕まえたの!?」

・・・・・・ん?

 

「Aランク・・?」

 

何じゃソレは。と俺が首をひねっていると、イルミが助け舟を出してくれた。

知らなかったの?あの獣って最も魔獣に近い種で、数は多いけど、その凶暴性とその殺傷能力の高さでAランクに指定されてるんだよ。の捕まえてきたサイズだと、無差別に攻撃してくるのもいるから危ないんだよ。たしか、何か特殊能力なんかもあったと思ったけど・・・」

「・・・・・マジ?」

今更顔を青くしながら、仕事時のことを思い出す。特に何も無かったけど。

聞いてねぇぞ?

・・・・まぁ下調べしなかったのは俺だけど。

「本当だよ。そこらへんの獣なんてわざわざ頼まなくても捕まえられるよ。今回のは無傷で捕らえるのが難しいから人に・・・つまりに頼んだんだよ。仕事以外で力を浪費するなんてしないからね俺たち」

あと、単に親父の好奇心でね。とイルミが付け足す。

「え?じゃぁ俺シルバさんのクリムゾン一回見てみたいな〜っていう理由で下手したら危ないことさせられたのか?」

「まぁそうかな」

 

・・・・・・あっぶねぇ〜っ!

何ソレ!Aとか!俺動物に好かれる性質でよかったぁ〜!!自分の性質にものすごく感謝した瞬間だ。

 

「あんな簡単な仕事頼むなんて可笑しいと思ってたんだけど・・・・そういう裏があったのか!」

ってクリムゾンなの!?っていうか簡単だったの!?」

カルトが驚いてる。

・・・・瞳が輝いてるのは気のせいか?

「・・・まぁな」

「うわ〜!」

 

 

・・・・カルトとやけに仲良くなりました。

 

 

 

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20051011