「キ〜ルア〜!・・・って」

「・・・・寝てるね」

・・・・早速出鼻を挫かれました。

 

 

 

つかの間の再会

 

 

 

 

俺はイルミに連れられてゾル家の独房へと足を運んだ。

随分長く歩いて、ゾルディックの屋敷の広さを再度認識する。

 

「ここだよ」

とイルミが一つの重たそうな扉の前で立ち止まった。

俺は本来の目的が達成される歓びでハイテンションに扉を開け放った。

 

「キ〜ルア〜〜会いにきたぜ〜!」

 

「おわっ何だお前!!」

なにやらをもったちょっと危ないかな?って人が怒っているがそんなこと知ったこっちゃない(酷

キルアは!?とぐるりと部屋を見渡すと、

「・・・・・・・おおーぅ・・・」

なんと!鎖で宙ぶらりんのまま熟睡するキルア君発見。

器用だなキルア。

 

 

「キル・・・・寝てるね」

速攻出鼻を挫かれた。

なんだかテンション下がったさ。せっかく俺はこんなにハイテンションだったのに。

 

 

「あ、兄貴。コイツ誰だよ」

「兄貴・・・・あぁ!君がミルキって人?俺。しばらくお世話になっから、よろしく」

俺は次男だと思われる体格の大変よろしい黒髪の男ににこやかに挨拶する。

・・・ホントに俺より年下か?

鞭を持っていたところからするに、キルアをそれで打っていたんだろう。

てか、キルアが寝てて、仕置きしてるミルキが汗だくプラス息切れってどうよ?

 

 

「はぁ?!世話になるって・・どういうことだよ?」

前例が無いのか驚いたようだ。嘘だろ!?みたいな調子でイルミを見る。

「イルミが俺に修行を付けてくれんだよ」

「兄貴?!!」

距離的に俺の方が近かったので、俺が簡潔に述べると、心底驚いたようで兄に近付いて本当か?と聞いてる。

「うん。そういうことだから、に変なことしないでね。もし何かしたら・・・・部屋燃やすよ?

「・・・・・・・・了解」

無表情で圧力をかけてくるイルミにミルキは縮こまる。

そして大事なフィギアのためコイツには近付かないでおこうと密かに誓うのだった。

 

 

「ん〜キルア起きねぇかなぁ〜・・・」

そんな兄弟そっちのけで、ゾル家に来た目的であるキルア本人が熟睡してることに少々不満顔な

「あぁ。鞭で叩いても寝てるから起きないかもな」

・・・・・・すげぇなキルア。すげぇな成長期!!

 

 

「・・・・殺気でも飛ばせば起きるんじゃない?」

 

イルミがさらっと凄いことを言う。

「そっか」

もそれに乗る。ミルキだけが冷や汗を流した。

「キルアどれくらい平気なんだ?」

「ん〜まぁ適当でいいんじゃない?」

「そうか〜?」

(・・・・兄貴はともかくコイツ変!)

ゾルディック家次男に危険視される男

 

「んじゃ、いっきまーす」

そういっては軽めに殺気を飛ばしてみた。

コツは殺ぉ〜〜〜す!って思う事。

「?!」

それに気づいたキルアが、カッ!と凄い勢いで目を開く。

 

「おぉ〜おはようキルア〜」

なんとも気の抜けた挨拶だ。

 

「・・・・・・・・・?」

「おぅよ。くんですよ」

寝起きに加えここにいるはずの無い人物の登場について行けないキルア。

 

「なんだよ〜会いに来てやったんだからちったぁ喜べ!」

ぶーたれるにようやく覚醒するキルア。

!!!」

困惑はマックス。しかし喜びもあり。よく分からないが興奮状態になる。

「何だ?」

「や・・・なんだじゃなくて!!」

伝わらないのがもどかしい。ここに来れるのは家族以外に執事やメイドだけのはず。

「どうしてここに?!」

「だーかーらー、お前に会いに来たんだよ。元気そうでよかった

キルアの無事を確認する目的は果たせたので、扱く御満悦だ。

にこりと笑うにキルアはもういいよと脱力する。

一応言っておくがキルアはまさに拷問中だ。

 

 

「あ。そうだ。ゴンたちも今試しの門あたりに来てるぞ?」

「・・・・え?」

目を見開くキルア。頭のなかはどうして?と嬉しさと、矛盾とで、胸が苦しくなる。

「どうしても自分で開けられるようになるんだと」

「・・・・・」

「幸せもんだなぁキルア。わざわざこんなところまで来てくれてんだぞ?」

茶化すように言う。重たくならないように。

「・・・・・うん」

 

「俺、今でもお前の友達のつもりだから。これだけ言いに来た」

本当に伝えたかった事は本当にこれだけ。

「・・・・

「お前も俺が友達だって言えるようになったら、納得できるようになったら、それとな〜く知らせてくれよ。・・・待ってるからさ」

にっと笑う。悪戯小僧のように。

「な?」

「・・・・・・・・ま。気が向いたらな!!」

キルアが何も言わないので念押しすると、顔を少し赤らめてそっぽを向いてキルアが言った。

「上等じゃん?」

いつものキルアだ。

 

その後しばらく談笑してイルミに引きずられるように独房をさった。時間にして30分ほどだ。

 

まぁキルアの安全は確認できたし。俺は他人の家に口出しする気はさらさらなかったので、

あとはキルアまかせにして、俺の目的は達成された。

あとは修行に専念するのみ!

この環境に甘んじて強くなってやろうじゃないか。

 

 

 

 

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20051014