「何コレ?」

「何ってご飯」

・・・・・・・凄っ。

 

 

貴族チックディナー

 

 

 

俺らが部屋に着いてしばらく寛いでいると、カルトが食事に呼びに来た。

「兄さん、、ご飯だよ」

ドアの隙間からひょっこり顔を出して言うカルト。

「カルト、わざわさお前が来たの?執事かメイドにやらせればいいのに

イルミがさらりと凄いことを言う。

なんだそのお金持ち発言は!まぁ実際お金持ちなんだろうけどさ。

「この家、執事とかメイドとかもいちゃうわけ?」

一般庶民から、そんな世界はテレビや本の中だけのものだ。

「うん。何人いるかなんて知らないけど。一応執事用の屋敷が試しの門近くにある」

「へぇ〜・・・・」

・・すげぇなこの家。執事に屋敷?!カルチャーショックだ。

 

「それより早く!お母様が持ってるんだよ」

「そう。行こう

「え?俺も一緒でいいのか?」

「うん!一緒に食べようよ!」

「だって。いいんじゃない?家族扱いなんでしょ?」

「ん、サンキュ」

ちょっとむず痒い。

ホントお世話になります。

 

 

 

しばらくして食堂についた。

まずビックリしたのは、テーブル。

無駄に長い。

まさに本の中の貴族のようだ。

一番奥、上座にシルバさん。その側面の両側にはキキョウさんとゼノさん。

イルミがゼノさんの隣に座って、カルトがキキョウさんの隣に座る。

 

「・・・・どこ座ればいいですかね」

 

何しろ無駄に長いのだ。皆奥に詰めて座っているが、

入り口から順に座ったら20人軽く座れそうだ。

「僕のとなりにおいでよ」

カルトが呼ぶのでそれに従った。

「それじゃぁ食おうか」

「あれ?ミルキ君は?」

まだ来ていない。

「あぁ、あいつは部屋で仕事中じゃ」

ゼノさんが言う。

・・・・・仕事?ここはゾル家。

 

「・・・・・部屋で暗殺ですか?」

 

「「「「「・・・・・・・」」」」」

 

え?違うの?!暗殺一家でしょ!?

 

「「ぶっ」」

「ふ」

 

ゼノさんとシルバさんが思い切りよく噴出し、キキョウさんが口元に手をあて軽く噴出した。

カルトは体を震わせて笑っているし、イルミはグーにした手を口に当てて笑いを耐えているようだ。

しばし笑われて、はどうしてだと首を捻る。

 

、ミルは極度の出不精での、外の仕事はせんのじゃ」

ゼノさんが言う。

ほほぅ、いわゆるヒッキー(引きこもり)ですな?

「だからミルキはもっぱら家で情報収集とかしてるんだよ。暗殺のほうはあんまり向いてないからね」

それを受けてイルミが続ける。

「あぁ!それで部屋で!てっきり暗殺だと思ってビックリした」

そんなミラクルなの聞いたことねぇもん。てかすでに暗殺じゃねぇし。

 

「や、の発言にびっくりだから」

淡々とイルミに突っ込まれた。

「どこらへんが?」

「全部」

「え〜?」

そうか?俺の思考回路は人並だと思うよ。

 

 

「よし!それじゃ食おう」

シルバさんが手元のベルと小さく揺らした。

その小さな音で食事が運ばれてきた。

「何コレ」

・・・・すげぇ豪華ですね。

フルコースかってくらいの豪華さ。それを皆普通に食べている。

「何ってごはん」

イルミがそれがどうかしたのかと言った調子で言う。

「今日記念日とかじゃなくて?普段の食事?」

「そうだよ?」

カルトも何か変?と見上げてくる。

「や、豪華だな〜と」

「ほほほほほほ」

キキョウさんが朗らかに笑う。

・・・・まぁいいや。もう何も言わないよ。

一応テーブルマナーは出来るからいいだろう、と食事に手をつけた。

・・・・・・が。

もっても重要なことに気付く。

 

「・・・・シルバさん」

「何だ?」

 

あの。俺コレ食ったら死ぬと思うんですけど」

 

「あぁ!忘れてた」

そういえば、みたいな顔をしてシルバが言う。

いや、そんな軽いノリで謝られても困るんですが。俺普通に死んじゃうから。

 

そう、俺の食事には致死量バリバリの毒が!!

 

・・・・ビバ俺の鼻&カン!!

 

は毒ダメなの?」

イルミが聞いてくる。

「や、普通ダメだろ」

俺は毒の種類や量なんかは大体わかるが摂取なんて絶対できねぇ。

あぁ、前にキルアとこんな会話したな。

ちょっと遠い目をする俺。

さっきからカルチャーショックの連続です。流石に疲れるよ俺。

「なんじゃ、これくらい食べれんようじゃいかんぞぃ?」

や、ゼノさん無理だから。

「そうか、じゃぁには初級編からだな」

シルバさんがさらっと言った。

「え?!結局は毒入り!?」

「当たり前だろう。コレも修行だ、修行」

「・・・・・宜しくお願いします」

ヤケだコンチクショー。

「うん。少しずつなれなよ」

イルミ、その応援はあんまり嬉しくないかも。

 

 

そのあと俺の食事はいったん下げられ、2分とせずに新たに微量の毒入り食事が運ばれてきた。

食べ始めが皆より遅かったので自然俺だけ残ってしまった。

俺が慌てて食べようとすると、

「慌てなくていいのよ?ゆっくりお食べなさい」

とキキョウさんがにっこり言ってくれた。

「・・・ありがとう御座います」

なんか1人だけ食べてるのって恥ずい。

というか、ゾルディック家が揃って食事ってのもちょっと意外だった。こうやって待っててくれるのも。

 

気を取り直していつもどおり食べていると、じっと見ていたカルトが口を開いた。

って綺麗に食べるね」

・・・・・はい?

「そうよね!キルやミルキに見習って欲しいわ!!」

「・・・・何がですか?」

良く分からないのでキキョウさんに聞く。

きれいってお皿が?俺そんながっついてないですよ?

「マナーよ!背筋は伸びてますし、ナイフやフォークの使い方は優雅だわ!!」

力説するキキョウさん。・・・・ちょっと怖い。

「お前どっかのボンボンか何かか?」

シルバさんが聞いてくる。

「違ういますけど、何で?」

「いや、食い方がそれっぽくてな」

「そうか・・・?」

まぁメンチさんに基礎は叩き込まれたけど。ホントに基礎の基礎しか知らない。

 

そのあとゾル家の方々にちょっかい出されながらも完食!!

頑張った俺!!

あぁ、これで毒がなければ絵に描いたような素敵な夕食だったのに。

そう思う常識も食べ終わる頃には消えていた。

 

 

 

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20051015