「・・・何この体制」

「修行だよ」

・・・・・マジで?

 

 

夜は一緒に。

 

 

 

ご馳走様をしたあと、俺はイルミのあとについてまたイルミの部屋にもどった。

あいも変わらず広い屋敷はしっかり誰かについていかなければ迷いそうだ。

 

「さて、お風呂はいる?

「おう、風呂って何処にあるんだ?」

「何処って、そこのドアだよ」

すっと、イルミが部屋の右奥の扉を指差した。

「・・・・・もしかしなくても、各部屋に風呂付き?」

「うん」

「・・・・・」

もう何も言うまい。

先に入ってきなよ。あ、もちろん纏はしたままね」

「ぅい〜」

「タオルとか好きに使っていいから」

「サンキュ〜」

 

ぽてぽてと風呂場に向かう

イルミはソレを見送ると、また本を読み出した。

 

しばらくして、がコートを脱いだ状態で出てきた。

髪は濡れており、首にはタオルがかかっている。ほかほかだ。

 

「イルミ!何あれ!?」

 

いきなり叫ばれイルミは首を傾げる。

「あれって?」

「あの部屋!ジャグジーに薔薇浮いてるってどういうことだ?!しかもすげ〜広い!!旅館並み!!」

なにやら風呂は凄かったらしい。

「何ってお風呂だけど。てかまた薔薇浮かべてんの?やめてって言ったのに。それに、母さんの部屋とかもっと凄いんじゃないかな?」

「・・・・・ソウデスカ」

本気で何も言うまい。アレだ、騒いだら負けだ。

きっとなんか負けだ。うん。

 

 

 

俺と交代して今度はイルミが風呂へ行った。

その間に俺は髪を乾かして、指輪から鎌を取り出して磨き始めた。

 

がちゃ

 

「・・・・何してるの?」

風呂上りのイルミが髪をがしがしと拭きながら出てきた。

「ん?何って鎌の手入れ」

「へぇ〜」

「俺しか触れないから、俺が手入れしないといけねぇんだよ」

「ふーん。大変だね」

「まぁ楽しいけど」

そんな会話をしながらイルミはの隣に座った。

珍しいのか、じっと作業を見ている。

 

「よし!」

 

「終わり?」

「おう!よっしゃ寝ようぜ〜」

そう言いつつ指輪に鎌をしまう。

どれくらい磨いていたかは知らないが、もうそれなりに遅い時間であるはずだ。

「うん。その前にこれ見て」

イルミの方へ顔をむけると、一瞬でイルミの気配が無くなった。

 

「・・・・・・イルミなんかペラいね」

 

気配が感じられないほど薄い。

「・・・その言い方やめてくれない?」

「ん?」

「はぁ・・・まぁいいよ。これが絶。オーラを絶つ技だよ。明日やってもらうから」

「へぇーい」

「それじゃ寝よう。俺はずっと絶でいるからよろしく」

「なんでだよ?」

「今夜は危ないだろうからね」

「??」

首輪傾げつつも、まぁいいかと布団に入る

それにイルミが続く。

 

 

 

「・・・・イルミ、何この体制」

「これも修行だよ」

・・・・マジでか?

 

今の体制を説明しよう。

まず、イルミと俺が寝ています。

向かい合っています。

そしてイルミは俺をがっちりホールドしてます。

 

 

「こうしてれば、寝ててもの纏が解けて無いか分かるだろ?」

「あ、そうか」

「それと、トイレ水のみ、とにかくここを動くときはオレにいうんだよ」

じっとを見ていうイルミ。何故か気迫があって怯む。

「な・・・なんでさ?」

ちょっと冷や汗する。

「危ないから」

きっぱり言い放つイルミ。

「何ソレ何ソレ!!」

取り乱す俺。怖い。得体が知れないところが怖い。

 

「まぁ、オレがなんとかしてあげるから安心して寝て良いよ」

「・・・・・・・・・・・・ハイ」

安心していいものか微妙だが、怖いので頷いておく。

 

 

そうして俺は眠りについた。

とは言っても纏を解かないよう気を張っているから熟睡ではないのだが。

 

 

 

 

 

数時間して、がパチリと目を覚ました。

「イルミ、俺のど乾いた・・・」

寝惚け半分、掠れた小声でイルミに呼びかけると、ムクリと起き上がって、

「ゆっくりオレの後ろについてきてね」

といって、イルミが歩き出す。もちろん足音なんて物はしない。

それにもぽてぽてついてゆく。

「行くよ、気をつけてね」

「??」

部屋の扉まで行くとイルミが言った。

意味がわからずが首をかしげた瞬間、

ドアが開かれて・・・・

 

 

 

どしゃ!!ズドドドドド!!

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

鉄球(とげとげ付き)と何十本ものナイフが飛んできた。

イルミはを抱き上げて跳躍して攻撃を除ける。

何がなんだかわかっていない

「・・・・・・・?パーティー??」

まだ頭は正常に活動していないようだ。

 

「うん、似てるかもね。母さんの仕業だよ。こういう歓迎の仕方好きだから」

「ふ〜ん?」

やはりまだ半分寝ている。

 

そのあとも爆発、爆竹、ナイフ、毒ガス、さまざまなものが至る所から襲ってきて、さすがのもばっちり目が覚め、最終的に水場にたどり着くまですごくカロリーの消化をしてしまった。

 

「・・・・これか、イルミが俺1人じゃ危ないって言ったの」

たしかに寝惚けた俺1人じゃ危ないかもしれない。

攻撃を除けることは出来ても、罠には嵌るかもしれないから。

「うん。でもきっと今日だけだろうけどね。危ないからこれからも俺に一応言うんだよ?」

「ハイ!」

是非とも!!

 

 

無事水分補給を終えた俺は1人で屋敷をうろつかないと心に決めた。

 

 

 

 

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