あぁ、暇だ。
図書館にて
仕事が始まって3日目。
―――そう、最終日。
なんだか無事に終ってくれるかも?で俺は大いに結構なんだが・・・・。
一日中展示物の隣で昼は絶、夜は円をしているだけってのは結構暇だ。
まぁ、今回は本館だけの警備だから円の範囲は狭いし楽だけど。
今回、この展示物の本を狙っているのは聞いたことの無い賊だった。
5人組の盗賊グループでB級賞金首になっているらしい。
てか、ABCってどうやって順列つけてんだろうな。・・っと話がそれた。
5人とも念能力者で、リーダーの男が中々の使い手で、結構危ないらしい。
3日間で訪れた念応力者は7名。
まぁ、ハンター協会の人とか、発掘関係のハンターとかが5名。
2名はよくわからなかった。なぁ〜んかやばそうなヤツだったけど、すぐ帰った。
・・・・・族の下見のヤツだったらどうすっかな。・・・まぁ、なんとかするか?
なるべく生け捕りって言われたけど・・・・・・・・うん、いざとなったら本持って逃げるし!
丁度お昼時になったので、本当は飲食禁止な館内で堂々とおにぎりを食べる。
あぁ、緑茶が欲しい。
しかし、本に湿気は厳禁なので、おにぎりと漬物で我慢する。
もぐもぐ・・・・・・・あ。梅だった。
そんな阿呆な事をしていても、絶をしている俺に気付くものはいない。
初日は円形の空間のど真ん中のショーケースに入った本の隣で、囲まれるように古めかしい本が壁一面ぎっしり詰まった空間は落ち着かなかった。
なにやら荘厳なかんじがして、ご飯を食べるのも気が引けた。
・・・けど、お昼時にずかずか入ってきて、陽気におにぎり食べて、ちょいちょい嫌味を残して去っていったネテロじぃちゃんのおかげで、今はもう遠慮なくモグモグ食べる。
まぁ、フードは絶対取らないけど。
なんでも、俺の顔写真って賞金かかってるらしい。
最近知った・・・ってか、館長さんに聞いたんだけど、俺ってメディアに取り上げられたこと在るみたい。
どーりで皆知ってるはずだよ。
なんかメンチさんを襲った山賊みたいな集団がそこそこ有名だったらしくて、それにくっついてたジャーナリストが俺のことも記事に書いたらしい。あまり大きな記事じゃなかったけど、
お前か、なんちゃってポエマ―は。
なんだ、「まるで死神のごとく舞うように優雅」って!!
仮にもジャーナリストなら真実をメディアに流せ!!
自分のことが書いてある新聞を見せてもらったとき、俺はまずそう思ったさ。
まぁね、たしかにその頃から結構依頼も増えたわけだが・・・。
悶絶。悶絶しまくり。
あぁ〜複雑だー。
「ねぇ」
「!!!?」
悶絶していると、声を掛けられて驚いた。
うっかりむせるところだった。なんとか耐えたけど。
俺は絶をしているから一般人には気付かれないし、能力者も仕事中の俺に話し掛けてくるものはなかったから。
入ってきた時点で気に掛けてはいたけど、声を掛けられるとは驚き。
俺はこいつが入ってきたときに念のため本館一体に円を張ったけど、念使いは引っ掛らなかった。
単独だし殺気は無いから警戒してなかった。
ゆっくり顔を上げる。
そして驚いた。
・・・・なんだこいつ。
目の前相手は、かなりの使い手だ。肌でわかる強さ。
ヒソカあたりと対面したときに似てる。この感覚。
「・・・何か?」
なるべく、冷静に努めて声を押さえる。
・・・手に食べかけのおにぎり持ってるから、格好つかねぇけど。
意外に鋭い俺の声に驚いたのか、相手はちょっと目を見張った。
けれど直ぐに気を取り直して、ゆっくりと近付いてきながら、困った、という笑みを浮かべた。
10代後半から20代前半くらいの黒髪の男。額には白いバンダナ。
「いや、本の返却に来たんだが、係員がいなくって・・・困ってるんだ」
そういって、紙袋に入った分厚そうな本5・6冊を俺に見せる。
・・・この男、展示会の間係員が居ないのを知らなかったのか?
まぁ、展示会前々日に決まったことだから仕方が無いといえば仕方ない。
「・・・・・返却、貸し出しは明日からです。今日まではコレの展示のため、係員はおりません」
そう言うと、男はやっぱりかとでも言うように、俺がコレ、といって指差した本を見やって溜息をついた。
「・・・・そうか。・・・まさか延滞とか取られないよね?」
「俺から言っておきますので大丈夫。心配なさらず」
男は顎に手をあてて「そう」と頷くと、あたりを見回し、最後に俺をじっとみて、しばらく考える素振りをした後。
「わかったよ、ありがとう」
と、にこやかに言っていなくなった。
はむっ・・・・もぐもぐもぐもぐ・・・・・ごくっ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ。
ビビッた!!!
マジビビッた。
攻撃でもされるのかと思ったぜ。
あ。こっちはおかかだったよ。
20051209