あのさ、俺は図体の問題じゃねぇと思うわけだよ。

 

 

 

もやしっ子

 

 

 

とりあえず、1階で勝たなきゃ上にはいけない。

まぁ、当たり前だな。

今俺は観客席で他の選手を眺めてる。

ぶっちゃけそんなに強いやつはいない。

まぁ修行代わりに来てるやつが大半だろうから、これも当たり前か。

なかなか活気があっていい感じ。

武器はダメっぽいからとっくに仕舞った。

ぼーっと、一番近くのリングで行われている戦いをみていると番号を呼ばれた。

強いのに当たりませんように、とか心にも無いことをお願いしみる。

 

 

 

 

俺がリングに上がると審判が武器を持っていたら出せといった。

・・・・・・・・・・・しまった。俺のコート武器の巣窟ジャン。

出せ、といわれると重労働だ。だったら全部一気に預かってもらったほうが早い。

「すみません、これ預かってもらえます?」

「いいですよ」

とりあえず、身に付けていたコートとかばんを預けた。

 

そして相手と御対面。したわけだけど。

 

・・・・・・・・・・・・・・でかいね

 

2メートルあるんじゃない?ってかんじの筋肉つきまくりな男が上がってきた。

そこで気になったのが、場内の野次。

「おぉ!やったなデカイの!細ッこいの相手でよぉ!!」

もやしっこをバカにすんじゃねぇ!!

「あいつ触られたら骨折れんじゃネェか?」

俺はそこまでやわくネェ!!

せいぜいがんばれや〜」

せいぜいがなきゃ喜べんのにっ!

くそっ腹立つっ!

活気がいいのはいいが、こういうのは腹がたつ。

 

俺がイライラしていると、相手方も準備が終ったようで、俺を見下げてくる。

悔しいから睨み返す。

くっそぅ!首がいてぇっ!でかすぎなんだよっ!

絶対入り口とか屈まなきゃ入れないんだろ?!生活しずらいんだろー?!

とか、心の中で八つ当たる。

 

「へっ!逃げんなら今のうちだぜ?兄ちゃん」

「誰に言ってんだ?」

「そうかい、悪いが手加減はしてやらねぇぜ?まぁ、その顔は傷つけないでやるよ」

「・・・・・俺は女じゃねぇ!」

それは女性へのセリフだろ?顔はってバカにしてんのか?!

よし決めた!目立たない気でいたけど、ぜってぇ場外に出してやる!!

 

「それでは、制限時間3分以内に自分の力を発揮してください。始め!」

 

と、言われた瞬間、俺は相手の後ろに回って回し蹴りを食らわせた。

まぁ、念は使わなかったぜ?でも、結構全力。

 

ドォ――――ン!

 

「あぁ・・・めり込んじゃった」

やっぱり力を入れすぎたようで、向うの壁と相手のお方は仲良しに。

蹴ったときメキッていったのはきっと気のせいだよね?あははははは・・・。

 

観客ははじめ、俺が吹っ飛ばしたのに気付かないようだった。

「消えた!?」とか言ってたんだけど、次の瞬間壁と相手が仲良くなる音に俺が吹っ飛ばしたんだと気づいた会場は大いにざわめいております。

はっは〜いい気味さ!俺を甘く見たのがいけなかったんだぜ?自業自得だ!

俺は腰に手をかけて、フンっと鼻で笑うと、めり込んで落っこちた相手を呆然と見ている審判に話かけた。

「あの、壁とかって不味かったですか・・・?壊れちゃいましたけど」

「は?あぁ・・・」

「まさか、あのくらいの蹴りで吹っ飛ぶとは思ってなくて、彼強そうだったもんですから」

 

えぇ、嫌味です

 

「大丈夫です。君は50階に行きなさい」

「はい」

 

 

まずは、1階クリア。

もやしっ子、舐めるべからず。

そこんとこ、よーく心に刻みまくっとけ。

 

 

 

 

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20051231