さてはて、俺の技も完成したし。今日はキルアとゴン会いに行くか。

 

 

 

一ヶ月ぶりのこんにちわ

 

 

 

「やほーゴン、キルア!」

「「・・・・・?」」

何処かへ向かうらしい二人の後姿に声を掛ければ疑問系で振り向かれた。

「おうよ。君ですよ」

「・・・・どこ行ってたんだよお前」

「そうだよ!何回部屋に行ってもいないんだもん!」

「あ。すまん。山篭りしてた、山篭り

本気で。修行イコール山。これジンさん的常識。・・・なんだと俺は思ってる。

 

「「はぁ?!」」

ポカンと口を明ける2人。

「ナイスリアクション!・・・ところでお出かけ?お二人さん」

予想はついているけど一応尋ねる。

「聞いて!あのね、今日からオレ念使って良いんだよ!」

ウキウキするのを我慢できないというように、ゴンが跳ねながら言う。

その様子に苦笑しながら頭を撫でてやる。

「これから師匠のとこ行くんだよ」

ゴンの様子に同じく苦笑しながらキルアが言う。

やっぱりか。と俺は内心ちょっとしたり顔。

ゴンたちの師匠とやらを見てみたかった。それから他にも色々。

「な。俺もついてっていいか?」

「いいぜ、なぁゴン」

「うん!も一緒に行こうよ!」

「んじゃ、遠慮なくついてく事にしよう!」

俺の言葉にはしゃいでくれる2人。あぁ山篭りで荒んだ心が癒されていくよ・・っ!

 

 

しばらく歩くと小ぶりな建物に着いた。

きっと此処が師匠のいるところなんだろう。

ちゃんとした先生ってどんな感じなんだろうとちょっとワクワクしながら中に入った。

 

「こんにちわー!」

「ウイングさん居るかー?」

元気のいい事で。

 

俺はとりあえず二人の後ろについて建物内を進んだ。

「あ、いらっしゃいゴン君キルア君・・・・・と?」

にっこりと笑顔を浮かべた若い男性が胴着姿の少年を伴って近寄ってくる。

・・・きっとこの人が師匠なんだろう。

 

・・・・・なんか普通だ。

 

言っちゃ悪いかもしんねぇが、普通だ。

スパルタそうでもないし、好戦的でもないし、見た目そこら辺のお兄ちゃんだ。

ちょっと端の出てるシャツが気になるけど、そんなもんだ。

きっとこの人は人を死ぬかも知れないぎりぎりに立たすなんて事しないんだろうな。

そう某ゾのつく一家みたいに。

思い出してちょっと切なくなる。あぁ・・・俺マジ頑張ったよな・・・!うん!

 

 

「あの・・・・?」

俺がちょっとばかり過去へ旅立っているとウイングさん?のいぶかしげな声が聞こえた。

ハッ!俺第一印象「アホな奴」もしくは「変人」じゃん!?

慌てて俺は頭を下げる。

「すみません!ちょっと過去に引きずり込まれまして!!」

「は、はぁ・・・・・?」

しまったー!!墓穴?!墓穴なのか・・・?!

いや、まだ大丈夫だ!(たぶん)

 

「えっと俺はって言います。ゴンとキルアとはハンター試験で知り合いました」

にっこりと人好きのするだろう笑顔を浮かべる。

内心冷や汗だらだらだ。

「あ、はい、私はウイングと申します。二人・・と、この子、ズシに念を教えています」

ふわりと笑いながら名乗ってくれた。ズシ君も礼儀正しく挨拶してくれた。

・・・・いい人だ。最近こんなに常識的な人に会っただろうか、いや会ってない。(反語

なんだかウイングさんの後ろに後光が見えないでもないよ!!

神々しい!ビバ出会いって感じ。

 

「ところで、さんはもう念は習得なさっているようですね?」

じっと俺のオーラを見ているらしいウイングさん。

俺は普段纏。もしくは絶の状態だからすぐわかるんだろう。

「えぇ、ものすげぇ荒療治でしたけどネェ―」

そらもうすっげぇ・・・・・うん。(自己完結)

 

「えぇ!?もう全部できるの!?」

興奮気味に俺の腕に飛びつくゴン。なんなんだこの食いつきようは。

「全部って何だ?」

ゴンの言葉に聞き返すとキルアが応える。

「四大行のことだよ。どこまで使えんだよ」

キルアも同じように詰め寄ってくる。

さっさっと吐けとばかりに2人に詰め寄られればもう言い逃れは出来ない。

てか、ちょっと怖い。

「落ち付けお前等。一応全部できるぞ?」

たぶん。四大行とかそこら辺は大まかに説明されたし、厳しいチェックの元扱かれたし。

「マジで?」「ホントに?」

「マジで、本当に」

「じゃぁは試験の時にはもう念使えてたって事?」

「いや?俺が念知ったのは試験終了後だよ」

「「本当に?」」

「本当に」

ゴンは驚いているし、キルアは先を越されて悔しいようだ。

 

俺たちの話が途切れたのを見計らってか、ウイングさんがゴン達に修行についての話をし出した。

なんでも今日からズシ君と一緒の修行らしい。

念がどうのと話していたなーっと思ったら、今は何故かヒソカの能力の話になっていてウイングさんがズシに錬をするように言っていた。

ヒソカの片腕の無い映像の一時停止された「どうよ?」って感じのテレビの前でズシ君が精神統一している。

ズシ君が目をカッと開くとブワッとオーラが放出される。

んん、良いネェ。力強いかんじ。なんて俺はすっかり保父さん気分だ。

 

「そのオーラを全て目に集中!」

「押忍!」

徐々にオーラが目に集まっていく。

おぉ、ズシ君スポコンマンガみたいな事になってるよ。

必死の形相で皆テレビとズシ君を見る中、俺はどうもテレビに映っているピエロさんを見たくなくってぼーっと違う世界に飛んでいた。

だって方腕無い上なんかすげぇ笑ってるし、ヒソカ。

正直怖ぇ。

 

 

気が付いたら話は全て終ったらしく、これからまた闘技場へ戻るらしい。

何故か俺の部屋へ行くことになり、200階へとエレベーターに乗った。

「・・・・・・・・・おい」

「うん、キルア、ズシ」

「押忍」

「お客さんだな」

上から俺、ゴン、ズシ、キルアの台詞。

エレベーターが上がるに連れて不穏な気配が近付く。

俺たちへの挑戦的なオーラ。

 

200階でエレベーターを降りるといつかの3人組だった。

・・・やっぱ新人潰しの類か。

「あんたらもしつこいなー。嫌われるよそんなだと」

キルアが呆れたように言う。

まったくだ。女の子にモテないぞー。

「まぁそう邪険にせずいつ戦うのか教えなよ、君らと是非戦いたいからさー」

薄笑いを浮かべてサダソが言う。

それを聞いて3人はこそこそと話をする。会話からすると、ゴンはあのガスマスクと戦ったらしい。

 

「オレら結構あせってんだよそろそろ〆切でさー。ねー戦おうよ。なんならサービスでオレの能力見せちゃうよ?」

そういうとサダソの左手のあったであろう場所から嫌な感じの念が生じた。

いや,なんていうかさ、ノリ的にアレだね「なんならサービスでオレ脱いじゃうよ?」みたいなノリだね。

・・・・うんキモイね。

 

「オレは6月10日に戦闘日を指定する」

「オイ、ゴン!」

あっさり喋るゴンをキルアがたしなめる。

「でもそれだとダメだよ。オレの〆切5月29日なんだ」

・・・・・・なかなか素敵な性格してんジャン?

こういうのを自己中といわずに何をそうよぶって感じ。腹立つね!子供相手に。

 

「そっちの君は?いつ戦うんだい?まだ誰とも戦ってないでしょ?」

サダソの注意が俺に向く。

「んーそうだな。いいよ、戦っても」

「本当に?嬉しいなぁーじゃぁ早速申し込んでよ!」

とサダゾが受付を指さす。

「明後日とかどうよ?」

「いいよ、期限内ならね」

「あいよー」

ひらひらと手を振って受付を始める。

 

「ちょっと!!」

ゴンが大丈夫なの?って視線を俺に向ける。俺はそれにニッカリ笑う。心配は無用だ。

「大丈夫だって、俺もそろそろ戦いたかったし」

オレの内心は「いぇー実験台ゲーット!!」だし。

「はい、じゃ、明後日宜しく」と俺はゴンたちを促して踵を返した。

 

「こちらこそ。ゴンちゃーん、君とも絶対戦うからねー」

後ろからそんな声が聞こえたが知ったこっちゃない。

明後日の試合が楽しみだ。

 

 

部屋につくまでやたら心配されたけど、今ではもう皆修行に夢中だ。

微笑ましい。

 

「そういえばってさー、どれくらいで凝できるようになった?」

キルアが休憩しつつ、思いついたように聞いてきた。

「そうだなー。錬ができるようになった翌日3分で」

インスタントさー。

「「「は?!」」」

「いやー師匠がスパルタでさ。ハイやってーじゃぁ覚えてーだったから」

へらへら笑って見せれば何故かゴンとキルアには脱力され、ズシはなにやら打ちひしがれている。

「じ、自分ちょっと凹んだっす」

「いや、それがだから。な?」

「うん。そうだよ、だから・・・諦めようよズシ」

おい。なんか聞き捨てならねぇセリフ言われなかったか?ペロッと。

 

 

それから何時間かして3人は帰っていった。

ズシの「体を休めるのも修行の一つ」発言はグッときたよ。

やっぱ普通はそうだよなぁ。うん。

 

 

3人が帰る前からうとうとしていた俺は、3人をぼんやり見送ってそのまま眠りについた。

 

 

 

 

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20060204