クロロたちと暮らし始めて1週間がたった。

 

 

 

気付く

 

 

 

珍しくも早く目の覚めた俺は、いつもより早く皆の集まる瓦礫の場所へと向かった。

「あら、。今日は早いのね」

「おぅ、おはよパク。実は俺も自分でもビックリ」

クスクスと笑いあったところで、パクノダからお使いを言い渡された。

「悪いんだけど団長とシャル起こしてくれないかしら」

フィンクスとコルトピはもう起きているらしい。

普段起こされっぱなしだった俺はソレを承諾した。

そんで、まず爽やかなシャルを起こしに行こうと部屋を出た。

 

 

え〜っとシャルの部屋シャルの部屋〜っと。

以前ゲームをしに行ったが、如何せん、同じような部屋が続くためうろ覚えだ。

ここか!

と思うところを手当たり次第開けていく。

なんとか3度目の正直でシャルの部屋へたどり着いた。

 

「シャールー。朝ですよー。起きてー。起きやがれ〜

 

何処から引いたのか、ココだけ電気が通っていて、シャルの部屋にはパソコンなどの機器が大量にある。

足元に落ちているチップなんかを踏まないように近付いていく。

「シャル―?おはよう?」

「んん゛〜〜〜」

起きない。

きっと昨日夜遅くまで何かやっていたんだろう。

いくら呼んでも起きそうも無くて、どうしようかと首を捻る。

殺気を飛ばそうモンなら、こっちがどうなるか分からねぇ。コワッ!

絶対殺される勢いで反撃される。

 

「・・・どうすっか」

すやすやと気持ち良さそうに眠るシャルを見下ろす。

可愛い寝顔ですこと。

お姉さん受けしそうだよ。

・・・・俺よりデカイけど。

初めてシャルとキチンと並んだときのショックといったらないね。

絶対俺より小さいと思ってたもん。

いや、パクがシャルより大きいのもビックリだけどさ。

パクがそんなに大きいとは思わなかったから、どっちも俺より小さく見えてたんだけど、

いざ並んでみるとデカイ。パクなんて身長プラスヒール・・・・。いい女ですよ。

あれ。話ずれてきた。

そうだシャルを起こすんだった。

「起きて―。シャル―・・・・あ、そうだ」

ここで俺はクロロにやられる起こし方を試してみる事にした。

そっと近付いて耳に息を吹きかける方法だ。

大抵耳の弱い奴は一発。

 

「シャル―起きろー」

ふーっと息を吹きかける。

「うっ・・・・・・わぁぁあああぁぁ」

ずさっと耳を抑えて俺と間合いを取るシャルに「よしっ!」と俺はガッツポーズ。

「な、なななな・・・・!?!?」

「おう。オハヨ。シャル」

頬を真っ赤に染めるシャル。

うい奴め。

 

「パクに頼まれて起しに来たんだ。飯そろそろじゃねぇかな?」

「そ、そうなんだ。ありがと」

「おう。それじゃ俺行くわ」

「う、うん」

何だかボサッとしているシャルに、ちゃんとパクのところに行くように言うと、俺は次なるターゲット、クロロの部屋探しに取り掛かった。

 

 

 

 

ばん!

 

「・・・あ、ちがった」

さっきから俺は手当たり次第ドアをあけまくってクロロの部屋を探している。

未だ行き当たらず。

 

がちゃっ

「んん?ここも違う」

・・・・となると・・・あの奥の部屋か。

途中フィンクスの部屋らしきものを見つけたから扉に悪戯をしておいた。

俺に抜かりは無い。

おそらくクロロの部屋だろう残された部屋へ向かう。

どうもしんとしていて変な感じだ。

セピアな鈍い印象の建物な所為もあるが、この辺りは日が差さしてなくて今が朝なのかどうか不安になる。

なんだかこの張り詰めた空気を壊してはならない気がして、いつの間にか抜き足差し足になってしまう。

言っておくが俺は泥棒じゃないぞ?!あいつらは盗賊だけど。

 

とりあえず「入るぞー」と声を掛けてから顔を覗かせる。

中はやはり薄暗くて、簡素だった。

粗末な机の上に本が何冊も積み重なっていて、近くの椅子にはいつもクロロが着ているコートが無造作に掛かっていた。

ベットを見れば何処からか盗って来たんだろう真新しい布団があって、それが規則正しく上下している。

「・・・・・寝てんのか」

意外だ。

俺の気配でさっさと目を覚ますもんだと思った。

まぁ、俺今絶状態だし、無理も無いか。

すぅすぅと微かに寝息が聞こえる。

ここで俺の好奇心がうずく。

クロロの寝顔見てやろうじゃねぇか!とこっそり近付いてクロロの顔を覗き込む。

 

「・・・・・・・・・・・・・・っ」

 

覗いてびっくり、俺は動きを止めた。だって、だって・・・!!!

か、可愛いらしい・・・。

てか・・・

 

「誰?」

 

そこにいたのは黒髪の少年のような顔をして眠る青年がいた。

え?あの不適笑いは?オールバックは?鋭い目は?

でもオデコのタテゥーは間違いなくクロロ。

「・・・・・」

それに・・・なんだ?どこかで見たことあるような・・・。

じっとクロロ(仮)を見つめる。

しばらく見つめていると、クロロ(仮)の長い睫毛が震える。

「ん・・・・」

「・・・起きたか?」

身じろぎ目を擦るクロロ(仮)に声を掛ける。

「ん・・・?んん、?」

「おぅ、クロロ?」

「ぅん」

もそりと枕に顔をうずめる。

 

・・・・・・・・・・何この可愛い生き物?!

 

なんだかものすごく可愛い。ちみっこを見ている気分だ。

俺が心の中で悶絶していると、にょきりとクロロの腕が伸びてくる。

「?」

何だ?と目で追えば、するりと首の後ろに回されてぐいっと引っ張られる。

「おわっ?!クロロ?」

恐らく寝惚けているんだろう。

ぎゅーっと抱き込まれてしまう。どうしたもんか。

「おーぃ」

「なんだ?」

返事早っ!

意外にも即答で確りした口調で返ってきた返事。

至近距離には、にんまり笑うクロロさん。

「・・・・・・・・・てめぇ起きてやがったな?」

「何の事?」

っく!かわいこぶりやがって・・・!!可愛いじゃネェかこんちくしょー!!(ぇ

 

「離せよ。飯だとよ」

「まだいつもの時間より大分早いだろう?いいじゃないか」

にっこり笑うクロロになんだか脱力する。

「・・・・はぁ、それにしても別人だなぁ。髪型一つでこうも違うもんか」

目の前のクロロの髪に手を伸ばして梳く。

さらさらで気持ちがいい。

 

とさり

 

「ん?」

体が反転したと思ったら、仰向けの俺の上にクロロが覆い被さる体制になった。

はどっちが好き?」

「は?」

「この髪型といつもの髪型」

いたずらっ子みたいな笑顔で聞いてくるクロロ。

そんなこと聞かれてもなぁ。

いつものクロロは雰囲気的にツルバミに似てて落ち着くとこも在るし。

今のクロロはなんとなく可愛い。いや、ふだんのクロロも時々可愛いけど。

いつもはオールバックで固めてるから触れないけど、この髪型なら触れるって利点をとるならこっちだしなぁ。

んーそれにしても、どっかで見たことあるんだよなぁ。

「・・・?」

「ん?あぁごめん。なぁクロロ、お前兄弟とかいるか?」

「?・・・そんなものいないけど?」

「だよなぁ」

・・・・どこで会った?

・・・・・・・。

ぺたりと手でクロロのおでこを隠してみる。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。

 

「・・・B級」

「は?」

「へ!?あぁ、いやっ、なんでもないスマン!」

慌ててクロロのでこから手を離す。

「どうしたんだ?」

心配そうに覗き込むクロロ。

あぁ見たことあったよこの顔。

・・・図書館で。

 

どどどど、どうしましょー!!

わかっちゃたよ、どこで会ったのか!

あれだ。バンダナの人だコイツ。

「今度会えたら俺たちの仲間に誘うから、考えといて」って言って去っていたあの人だよ!!

え?じゃぁ何か、仲間って変な宗教団体とか大穴で女装集団でもなくて・・・・蜘蛛?!

うーわーどうするべきよコレ。

い、いや、クロロは俺がクリムゾンなの知らないし!!

・・・だ、大丈夫だよな?

 

 

「・・・?」

コツッとおでこをくっつけてくるクロロ。

「はっ!ごめん」

「熱は無いな?」

「なな、無い!俺超元気!!」

俺が慌てて返すと楽しげにクロロが喉を鳴らす。

うーわー、嫌味な感じにいい男だなこのやろう。

「まったく変な奴だなお前は」

「変じゃねぇ」

「くくっ、まぁいいさ。そろそろ行こうか?」

と俺の鼻の頭に軽くキスを落として起き上がるクロロ。

なにやらとてもご機嫌だ。

 

 

・・・・・・・とりあえず、俺はクリムゾンである事をばれないようにしねぇと。

 

 

 

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20060604