極上の笑顔で俺を捕らえるよう言ったクロロ。
唖然とする暇も無く襲い掛かってくる団員の方たち。
優秀ですねぇ〜・・・って。俺ピンチだよな。
逃走と。
コルトピは動く気配が無いが、他3人がすぐさま動く。
俺はすばやく足の重りを外して、悪いとは思いつつもフィンクスに投げつける。
ついでジャンプして建物の天井へ逃げる。
フィンクスはあっさり避けるし、シャルなんか針っぽいの構えてるし。
怖いです。
「「「団長命令だし」」」
なんか皆イイ笑顔だし。
からりと足元の崩れた瓦礫が音を立てる。
もうばれてしまった事だしいいだろうとツルバミを取り出して俺も臨戦体制に入る。
「お、本物っぽいじゃねぇか」
フィンクスがはしゃぐが、ガンつけて黙らす。
逃げる事に関しては自信が有る。
でも、さすがに団員4人は辛いものが有る。
てか、下の方でにんまり笑って傍観してるクロロが憎い。
でもさ、俺もハンターの端くれって言うか・・・・直ぐにでもツルバミで逃げられんだけど、
ちょーっと力試ししたいかなぁ〜って・・・・テヘっ。(うんごめん、自分で言って鳥肌たった)
ヒュッ・・・・・
「・・・・・・・・・・・」
俺の横を通り過ぎたのは何やら、小悪魔系の小さな針・・・。
「おいコラ飛び道具卑怯だぞ!!」
後ろを若干振り向きながら言うと、素敵に笑顔なシャルがいた。
「だってそんなルールないでしょ?」
ごもっともです。
・・・・・・・・って。
「コワッ!あれ念だろこの野郎!!!」
「おとなしく刺されなよ」
「嫌じゃボケ!!!」
後ろを向きながらそんな会話をしていると、前方に気配。
走る足は止めずに、思い切り鎌で薙ぎ払う。
「おあ?!」
フィンクスが変な声をあげながら避けた。
「フ・・・!甘いぞフィンクス!絶がなっとらん!!」
「はっ!お前こそ余所見たぁ余裕じゃネェか」
「いやいやいや」
「そのとおりよ」
パンパンパン!
素敵に発砲しやがりましたよ、パクノダさん。
「ギャ-ッ!マジ飛び道具怖ぇーっ!!」
しかも3発も。
「「「ほら、どんどんいく(よ/わよ/ぜ)!!」」」
繰り出される攻撃を避けて避けて避けまくって逃げまくる。
そりゃ〜もう凄いスピードで。
その所為で、もともとぼろかった瓦礫の広間は天井の穴が増え、瓦礫が増え、余計ぼろくなった。
かれこれ、どれくらいたっただろうか。
結構疲れてきた。
いい感じに運動不足は解消できたかなぁ〜ってかんじ。
「おいクロロ!!」
逃げながら声を掛ければ、普通に「何だ?」と返される。
「俺捕まえるのは結構だけど、俺すぐ逃げられんだよ」
ツルバミのおかげで。
「で?」
にんまり笑ったままのクロロ。
殴ってやろうか。
「俺追っかけんのやめてくれれば友達継続!やめねぇならもう近寄んねぇぞこの野郎!!!」
イ―――ッだ!と、せめてもの抵抗に小学生ばりのことを叫んでみる。
あれ、俺って痛い?
だって言っとかないと、俺こいつ等気に入ってるし、ちょーっと疲れてきたから、やめてくれると嬉しかったりする。
だってこのあと、どんな試験があるかわかんねぇし。
あんまり疲れたくない。
「・・・・・・・・・・・・・」
クロロは思案するように顎に手をかけて俯く。
その間にも、俺の脇をシャルのハリが横切ってちょっと焦る俺。
後ろから投げられる瓦礫をさけ、挟み撃ちから逃れ、ちょいちょい威嚇攻撃をして、
あぁもうこんちきしょー!マジ逃げちゃおうかな〜と思ったとき、クロロが顔を上げた。
「やめろ」
少し不服そうに、そうった。
フィンクスとシャルが「「ちぇー」」とぶすくれていた。
パクは素敵に髪を掻き揚げた。
こっちの身にもなってみろ!!旅団に全速力で追いかけられてみろってんだ!!
ストップした皆を確認して、間合いを取って俺も止まる。
「おぅ、諦めてくれたか?」
ひょいっとクロロの前へ降り立つ。
「・・・・しょうがない、今のところ蜘蛛に入れるのは諦めよう」
・・・・・・今のところってのがすっげぇ引っかかるよクロロさ〜ん。
「・・・・絶対ぇ入らないからな?」
「・・・・・・・・・」
「納得しろよオイ」
俺は盗みに興味はねぇの。
「・・・・・いずれ手に入れてみせるさ」
「ハーイ、そこ。不穏な事言わないの!」
びしぃっとクロロを指差してツッコむ。
クロロは不適に笑うのみだ。
「にしても、結構やるなぁ」
フィンクスがにっかりと笑う。
「どーも」
「そうだよ、僕たち結構本気だったのに」
シャルが面白そうに笑う。
「うん、怖かったよシャル」
「うふふふふ」
いや、パク、笑いどころじゃないから。
「はぁ・・・・じゃぁ俺行くから」
「ん」
「気をつけてね」
頷いたクロロに、やさしく笑顔で見送ってくれるパク。
さっき楽しげに発砲てくださった方とは別人ですか。
「・・・・まぁ、なんだ。・・・またな」
「たまにメールするから」
フィンクスがどこか照れたように頭を掻きながら言って、シャルが爽やかな笑顔で携帯を振って見せた。
「おう、またな」
笑って挨拶代わりってわけじゃないけど、ツルバミをくるりと一回しして肩にかける。いつものスタイル。
意外とあっさりと別れを告げ、俺は仮宿を後にした。
20060707