「珍しい!これは雨でもふるかな?」
ロイスは現れた俺を見て、驚くでもなく、おどけて見せた。
情報
「それで?今回は何だい?君がこんなに間を空けずに来るなんて珍しいよね」
紅茶を出しながら、くすくすと笑っているロイス。俺はコイツが焦ってる様なんて見たことが無い。
いつか見てやろうと密かに思ってたりする。
今日は薄い藤色のワイシャツに濃いグレーのスーツ。
相変わらずな感じだ。
「G・Iについて知りたくてな」
「へぇ・・・」
俺が単刀直入に言うと、ロイスはニヤリと口元を緩め、顎に手を当てた。
なんともイヤ〜な感じだ。
「・・・何だ?」
「いや、大富豪バッテラにクリムゾンが雇われたのは本当だったんだなぁ〜って思ってね」
「・・・・相変わらず耳が早いことで」
「まぁ、それが商売だからね」
クッキー食べるかい?とロイスはニコニコ笑っている。
俺はクッキーを遠慮して、続きを催促する。
「そうだねぇ、ちなみにどれくらいの情報がほしいの?」
「概要・・・かな。2000万は払う」
ハンターサイトの値段でどれくらいロイスは教えてくれるのか気になるし。
「あれ?それって僕のこと試してる?」
にっこり笑うロイス。相変わらず察しがいい。
「そう思うか?」
かちゃりとカップを持ち上げて紅茶を啜る。
ん、うまい。
「まぁねぇ。まぁいいさ。君は数少ない直々に訪ねてきてくれるお得意様だしね」
「へぇ、初耳だ」
俺ってお得意さんなんだ。
「ここまで来れる人は少ないってことだよ」
「へぇ」
「さて、本題だけど、G・I。簡単に言うと念能力者によって作られたゲーム。念能力者がゲーム機の前で錬をすることで体ごとゲーム内に入るんだって」
「へぇ・・・ってことは、G・I の舞台は実際に存在する可能性が高いな。念による転送だろ?」
「さすが。ゲームはゲーム内の何人かの念能力者によって管理されているらしい」
「・・・ってことは正規の方法以外でそのエリアに入り込むと、何らかの方法で排除されるわけだ?」
「多分ね。GREED ISLANDって製作者の頭文字をとってつけられたらしいから、少なくとも11人の念能力者によって支えられてるわけだ」
「へぇ」
間違いなくGはジンさんのGだな。
「ゲームは限定100本。入手にはお金だけだから、まぁ簡単に手に入る方かな」
「ゲームに参加する事によるメリットはあるか?」
「なんでも、クリアするとゲーム内のものを限定で何個か外の世界に持ち帰って使用する事ができるみたいだよ」
「へぇ」
ってことは、バッテラ氏はゲーム内にある何かが欲しい訳か。
「クリアすれば当然外界に出て来れるけど、それ以外にも出てこれる方法があるらしい。まぁ棄権もできるというわけ」
「ふ〜ん?」
「まぁ基礎としてはこんなもんかな?」
「わかった。助かったぜ、サンキュ」
「如何致しまして」
にっこりと微笑むロイス。
「そんで、報酬は?」
「2000でいいよ」
「万?億?」
「ふふ、万でいいよ」
「さすが」
「あ。そういえば君蜘蛛と接触しなかったかい?」
「・・・・・・・・・」
に〜っこりと笑うロイス。優雅に足なんか組んじゃって憎たらしいったらない。
「8月の頭ごろだと思うけど、逆さ十字のコートの男の目撃情報があってね。どうやら君に紹介した廃墟のエリア方面へ向かっていたらしいからね」
に〜っこり。
「・・・・・・・・・・・はぁ」
なんだか、俺がコイツの焦った顔を見れるようになるのはまだまだ先のようだ。
「接触どころか少しだけだけど同居とかしちまったよ」
「へぇ!それは貴重な体験だね」
「どーも」
キラキラと効果音が着きそうな笑顔のロイスに俺は溜息混じりだ。
「で、何が知りたい?」
「いいや、逆さ十字の男が旅団員だという確証が得れただけで十分だよ」
「そ?」
「そう。それで、彼ら近々動きそうだよ?多分狙いはオークションだね」
「・・・・・・・」
「地下競売ではくれぐれも気を抜かないで頑張ってね」
・・・・どうやら俺の仕事内容までばれているようだ。
「肝に銘じとく」
「よろしい!」
なにやら上機嫌なロイスに送り出され、いきなり目の前に現れた俺に、ツェズゲラ氏に酷く驚かれたのは言うまでもねぇかな。
20060723