ツェズゲラさんは、行き成り現れた俺に驚いた後、俺から微かに臭う血の臭いに眉をひそめた。

 

 

 

 

事後

 

 

 

 

俺は簡潔に起こった事を告げ、地下競売から早々に手を引くべきだと言った。

おそらく、あいつ等、蜘蛛がヘマをするだの、諦めるだのはないはずだ。

ツェズゲラさんは、多少動揺した後、それを了承した。

俺はマフィアと関わる気は全く無ねぇし、いろいろ厄介だから、俺が唯一生き残った事を外へ漏らさないように口止めし、足早に部屋に向かった。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ〜」

変装もそのままにベットに倒れる。

 

マ ジ ビ ビ っ た !

何だあの連中。

うぁ〜とベットの上で大の字になると、先程もとに戻したツルバミが苦笑する。

「まぁ、よくやったんじゃねぇの?」

そういって俺の側に座る。

「あーマジ強すぎ。何アレ?逃げるしかねぇだろ?流石に俺、リンチにあう趣味ねぇし」

4対1。下手したら7対1。どう考えても俺は不利だ。むしろどうやっても勝てない。

俺の能力で相手を強制的に絶状態にできるとはいえ、体術だけでも1対1で勝てるかどうか微妙だ。

それが7人。

マジ無理です。

自分の力量と相手の力量測り損ねるほど馬鹿じゃないもんねー。

いやいや、チキンじゃねぇぞ?俺は。・・・・たぶん。

「はぁ・・・」

なんだか、どっと疲れた気がして溜息を吐く。

「・・・まぁ、俺はお前が生きてりゃそれでいい」

ツルバミが俺の伊達眼鏡を外しながら言う。穏やかなその表情がカイト兄に似てると思った。

 

 

「で、これから如何するんだ?」

ツルバミは髪を解きながら、さして興味があるようでもなく聞く。

「おそらくコミュニティー側はもう一度オークションをやるんだろうが、それに参加するのは無意味だろ」

おそらく、競売は行われても、フェイク。

もしくは、普通に行われても、品物が自分たちの手に届く事は無いだろう。

「そうすっと、俺は6日のオークションまで暇だな。再度地価競売に顔だすかも知れねぇから微妙だけど」

「で、どうすんだよ」

「んー・・・。ツェズゲラさんは一度出かけるらしいし、俺も出かけるかな」

「チビ共んとこか」

「ん。今日ちゃんと会えなかったからな」

「わかった。今日はもう寝ろ」

ツルバミに目を掌で覆われると、自然と眠気が襲ってきて、結構自分が思った以上に疲れていることに気づいた。

それから俺は深い眠りについた。

 

 

 

 

 

 

+++++++++

 

 

 

 

 

 

 

「赤い髪の2人組?」

 

 

 

場所は蜘蛛のアジト。ロウソクがあちらこちらに置いてある瓦礫だらけの一室。

団長のクロロを中心に、ヒソカ・ウボォ-ギンを除く蜘蛛が揃っていた。

 

「そうね。逃げられたよ」

 

フェイタンが悔しそうに呟く。

「片方が長い髪、片方が短い髪で眼鏡をかけてたな」

フランクリンが大雑把な説明をする。

「念能力者か・・・」

クロロは顎をさすって思案する。

「一応調べてみたんだけど、どこの雇われかは判らなかったよ」

シャルナークが言う。

今日の報告のために集まっている訳だが、話題に上がっているのは取り逃がした2人の男。

「そいつの様子からすると、競売の品に何かしら目当てがあるんだろう?だったらまた来るんじゃねえのか?」

フィンクスが言う。

「いや、5分だな。賢い奴なら俺たちがまた競売の品を狙ってくる事がわかるだろう。雇われがソレを知っていて態々くるかどうか」

クロロは口元を手で覆って考え事をしながら言う。

何せ相手には蜘蛛が品を奪ったわけでない事がバレている。

 

「中々強そうなヤツだたよ」

「珍しくフェイが興味もってたしな」

「・・・でも逃げられたよ」

フェイタンとフランクリンが会話する。フェイタンは不機嫌だ。

 

 

「どうやってソイツは逃げたんだ?入り口は固めたんだろう?」

クロロが首をかしげる。

「俺とマチで入り口は固めてたが、人っ子一人通らなかったぜ?なぁ?」

「あぁ、そんなヘマしないさ」

ノブナガがマチに同意を求めると、彼女も頷いた。

あの時人は通らなかった。

だったらどうやって抜け出したのか。

 

「消えたよ」

 

フェイタンが言う。

「どういうことだ?」

「ワタシすぐ追いかけた。けど、もういなかたよ」

「・・・・どちらかが瞬間移動系の能力者か」

しかも、少なくとも人一人くらいのモノは同時に移動できる能力者。

クロロは目の前のロウソクを見つめる。

「良くは見えなかったが、やつが後ろに飛んで暗がりに入ったと思ったら、消えてたな」

「わたしも見ましたけど、やっぱり消えたとしか思えないですよ」

なぁ?と顔を見合わせるフランクリンとシズク。

赤い髪の片方が「さようなら」と後ろに飛んだ瞬間、フェイタンが直ぐに後を追ったが、そこには誰も居なかったし、奥にも居なかった。

ただ暗い通路が見えているだけだった。

 

そいつの能力、いいな

 

にやりと笑うクロロ。

ロウソクに浮かび上がるその表情は酷く楽しげだ。

 

「これから如何するんだ?団長」

ノブナガが聞く。

「とりあえず、フェイはフクロウとか言う男の拷問を頼む。能力が欲しい」

「わかたよ」

フェイタンは頷いてニィ・・・と目を細める。

「あとは待機だ。明日の午後6時までは各自自由にしていて構わない」

「赤い髪の男はどうすんだい?」

「なんだ、気になるのか、マチ」

「いや・・・・なんとなく」

「そうか。そっちは見つけたら生かして捕獲。無理に探さなくてもいいさ」

クロロは喉を鳴らして笑うと読書に戻った。

他の面子も各々に落ち着いた。

 

 

 

++++++++++

 

 

 

 

翌日、目が覚めると、素敵に午後の日差しが目に入った。

「・・・・・・寝すぎた」

「わかってんじゃねぇか」

真後ろから声がして、振り向けば案の定ツルバミが立っていた。

「あれ、お前戻らなかったのか?」

「・・・・・・・・まぁな」

なんだかすっきりしない返事をして、そっぽを向くツルバミ。

「?・・・・そういや、今度はどうする?」

「いや、戻る。面倒はゴメンだ」

「ふーん」

そういうと、何故か俺の頭をぽんぽんと撫でた後、鎌の形に戻った。

「・・・・変なの」

 

 

さっそくキルアに電話をかける。

すると何やら立てこんでいるらしく、夜なら会えるらしい。

8時半に皆の泊まっているらしいホテルで待ち合わせの約束をして電話を切った。

ゴンたちに会うまで暇になった俺は、また寝るのもアレだし・・・と、とりあえず飯を外で食おうと街に出た。

 

 

 

 

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