「はあぁぁぁ?」
思わず俺は奇声をあげた。
質入
「ハンター証を質に入れるだぁあ!?」
予定通り8時半にホテルで待ち合わせして、飯を食ったまではよかった。
レオリオも相変わらずで、久々に話せて楽しかったまではよかった。
話は自然とG・Iの話になった。
そこでゴンの発言が問題だ。
「あのさ、俺のハンター証、質に入れたら1億くらいは貸してもらえるよね?」
ですってよ奥さん。
他人事で素晴らしく面白そうだけど、ここはヨークシン。
しかもオークション中とかいう、ちょっとデンジャラスな環境で、質に入れるのは頂けない。
いつ、どこの変わりもんの金持ちが金積んでハンター証もっていくか分からない。
「・・・ゴン、ハンター証ねぇとホテル代だの飛行船代だの大変だぞ?」
「あ・・・そ、そっちもお金いるけど、今はG・Iが目的だし!!」
はいソコ―――!目が泳いでますよ―――。
「ぶっちゃけホテル代飯代とかも結構痛いんじゃねぇの?」
「「う゛」」
チビッ子2人が言葉を詰まらす。
レオリオはその様子に手をでこに当てて溜息を吐いた。
「・・・まぁ俺かレオリオいっしょなら平気だろうけどよ」
「あ!そっか」
俺の言葉にぱっと目を輝かせるゴン。
ごめん、ワンころにしか見えねぇ。
「あ。俺は仕事あるから手伝えねぇから。レオリオ当てにしてくれ」
悪いけど、そんなに時間は無い。まあ4日と5日くらいはフリーだけどな。
「「「えぇ〜〜〜・・・・」」」
「おい、なんでレオリオまでハモんだよ」
普通、ここは金が必要なチビッ子2人だろ、えぇ〜って言うの。
「いやぁ〜それは、な?アハハハハハハハ」
「そ、そうだよ。アハハハハハハハハ」
「はぁ・・・(ごまかすの下手すぎだっつの)」
レオリオとゴンが乾いた笑いを漏らす中、キルアは溜息をついた。
なんだかよくわからないが、俺はちょっとした考えが浮かんだので口にしてみた。
「なぁ、質屋じゃなくて俺に質入しねぇ?」
「「「は?」」」
言ってみれば、3人は素敵に固まった。
「だぁ〜かぁ〜ら!俺が一億貸す代わり、俺がゴンのハンター証を与るってこと。期限はレオリオが帰国するまで」
ど?と首を傾げれば、ゴンは未だに?マークを浮かべている。
「それいいじゃん!」
キルアは理解してくれたようでバシバシゴンの背中を叩く。
「どういうこと?キルア」
「だから!お前のハンター証をに質に入れるんだよ。ハンター証をに預けるかわり、金かしてもらうってこと」
「?」
「そうすれば、お前のハンター証が知らないヤツの手に渡る可能性がなくなるし、ただで貸してもらうわけじゃなくなるってこと!」
キルアが多少興奮気味に捲くし立てると、ゴンはやっと理解したようで
「つまり、が質屋のかわりをするってこと?」と首をかしげる。
「まぁそうだな」
ゴン、そこまでの道のり長げぇよ。
「で?どうする?」
再度聞くと、二人は顔を見合わせて頷いた。
「「お願いします!」」
「はいよ」
2人の返事に俺は満足げに頷いた。
「ま、なら流れるこたぁねぇし安全だな」
レオリオが感心したように言う。
「はい!じゃあこれ渡しとくね」
元気よくゴンがハンター証を俺に寄越す。
オイオイオイ、そんな簡単に人を信じちゃいけないよ?
まぁ、俺は騙してなんてねぇけど。
「たしかに。じゃぁゴンの口座に1億入れとく」
「ありがとう!」
「ん、あ、そうだ。俺もカタログ見てみてぇんだけど、明日一緒に行ってもいいか?」
実はオークションに参加してるくせに、俺まだ見てないんだよな。
ちょっと興味ある。
「そんなこと言って、仕事じゃねぇの?」
キルアが怪訝そうに俺を見る。
「午前中は平気」
オークションはどうせ夜だ。
一応俺はオークションに参加する事にした。
おそらく手に入らないだろうけど、一応な。俺にも責任感とかちょっとくらいはあるさ。
そのあとしばらく色々話して、また明日ってことで別れた。
あぁ、チビッ子はマジ癒しですな。
俺はゴンたちの無謀な計画を知らず、呑気にそんなこをと思っていた。
20060816