あぁもう!うっせえなぁ。
騒音
ハイ、今晩は君でっす。
もう君とか言う歳じゃねぇだろって突っ込みは無視の方向で。
さて、俺は今セメタリービルの競売会場にいまっす。
えぇー・・・、マフィアのおっちゃんが煩いです。
俺は午前中ゴンたちとカタログを入手しにいって、おこぼれでカタログ見せてもらった。
「G・I」についての情報はあらかたロイスに聞いたのと大差なかった。
他もぱらぱら見たけど、アレだな、ゾルディック家の箱。
説明が「全てにおいて不明。箱を開けたものは死にいたる。」だったんだけど。
アレ売れんのか?
・・・・・・・まぁ、置いといて。
そのあとは街をぶらついた訳だけど、ゴンがベンズナイフなるものを発見!
なんでも大量殺人鬼のお手製ナイフらしくて、ファンが多く入るらしい。シルバさんも好きだとか。
それから凝でお宝発見しようみたいな事になって、俺もちょっと手伝った。
んで、午後からは懲りずまた変装して、今にいたる。
ツルバミは渋ったけど、今回は俺だけ変装して、始終絶でいることを決めておとなしくしてる。
ツルバミは指輪の中だ。
んで、今。
外でドンパチやってるらしく、随分うるさい。
弱いくせにピーチクパーチク。
結局は群れて強がってるだけの下っ端が不安を誤魔化す為に騒ぐ。
すぐ横のホールで騒いでて不快だ。
外で暴れているのはおそらく蜘蛛の誰かなんだろう。
あちこちで爆発音が聞こえる。
結構前に隣でも爆音がしたけど、誰かキレたかなんかだろう。それでも隣はざわざわしてる。
オークション会場にはチラホラ座っているが、大抵のヤツは隣のホールで動揺している。
「・・・・・はぁ」
帰ろっかなぁ・・・なんて思った矢先。
ドオオォオン・・・・
今までで一番大きい爆発音のあと、会場が酷く揺れた。
下のほうの階で何かあったんだろう。
それから、なだれのようにマフィアさんたちが会場に入ってきて席に座った。
それを見計らってステージのスクリーンのスイッチが押された。
「よぉ・・・みんな元気か。まずは連絡の不備をわびよう、すまなかった」
段々音声も映像も安定してきて、やたらガタイのいい男が映し出された。
十老頭らしい。
「大分ゴタゴタしちまったがもう大丈夫だ。
旅団の頭は始末した」
「・・・・・・・・・・は?」
思考停止だ。
ありえない。
あのクロロがヘマをするとは考えられない。
「・・・・・・・」
周りのマフィアはもう安堵しきってる。だが
十老頭はそれだけ信頼性があるものか、俺には疑わしい。
まさか・・・、いや、全てはクロロに会えば分かる事。
アイツはきっとそう簡単に死なないだろうと信じたい。
「・・・てか、死んでたら笑ってやるからな」
俺は会場を飛び出してクロロの元へ飛んだ。
視界がクリアになると、そこは土誇りがかすかに舞っていた。
クロロの姿は見えなかった。
けれど飛んでこれたと言うことは、奴の気は途切れていないと言うこと。
「・・・クロロ?」
「誰だ」
「!!」
行き成り低い声で訪ねられて、心臓が跳ねた。
見れば、よく知っていて、今できればここにいて欲しくなかった人。
「・・・・シルバさん」
「・・・・?」
「どうした?シルバ」
その後ろから老人の声。
「・・・ゼノさん」
「・・誰じゃ?」
「お久しぶりです」
鬘を取って挨拶する。
「・・・おぉか!!久しぶりだのぉ!」
ゼノさんはやたらボロボロだった。
「・・・・・ボロボロですねぇ」
こんな姿拝めるとは思わなかったよ。
「何。ちょっとな。それより化けたもんじゃナァ」
「でしょ?・・・・で、蜘蛛の頭は・・・?」
ドキドキと心音が聞こえる。
「あぁ、向こうだ」
シルバさんが親指でくいっと後方を指す。
すると、こちらもボロボロで目を見開いているクロロ。
「クロロ・・・」
なんだか無償にほっとして座り込む。
「はぁ・・・」
溜息出ちまうよ。
「・・・・・?」
キョトン、とした顔でポツリというクロロ。
「そうだよチクショ―――!!んだよ結局上手い事手ぇ回したのかコンチキショ―――!!」
俺の緊張返せ!!
んでもって、シルバさんたちとの再会をやり直させろ!もうちょっと喜びたかっとつぅの!!
「なんじゃ、お主ら知り合いか?」
「はぃ〜不本意ながら。ちょっと色々ありまして・・・」
「・・・・・お主も大変じゃの」
なんだか遠い目をするゼノさん。
「そりゃ〜もう」
なんで俺はこう危険人物とのご縁がありまくるんでしょうか。
しかも何故気に入られるんでしょうか。
いや、気に入られなくて殺されるよりいいけどさ。
いや、その前にどうして気に入っちゃうんだ俺。
「それじゃ、わしらはそろそろ帰るでの、また遊びにこい」
「あ、はい」
「じゃあな」
ぐりぐりとシルバさんに頭を撫でられる。
そこではっと気付いてシルバさんを呼び止める。
「?なんだ」
「キルアから好きって聞いたから良かったら〜と思って、コレ」
懐からナイフを取り出す。
「・・・ベンズナイフの初期型・・・」
今日値札市で見つけて、キルア達にあげても良かったけど、お世話になったし、会えたときに渡そうと思って持ってたわけだ。
こんなに早く会えると思ってなかったけど。
「いろいろお世話になったんでプレゼント。受けっとってくれます?」
「・・・あぁ、ありがたく貰おう。ありがとう」
わしわしとまた頭を撫でられる。
「いいえ〜それじゃ、また時間ができたら遊びに行かせてイタダキマス」
「あぁ、待ってる」
「それじゃ、またの」
「はい」
シルバさんとゼノさんは扉の向うに消えていった。
さて、俺はくるりと方向転換する。
そこには大の字で倒れるクロロが居た。
・・・このまま腹に助走付きで飛び乗ってやろうかと、本気でちょっと考えた。
20060816