「しんど―――。ありゃ盗めねぇわ」

 

 

 

 

予定通り。

 

 

 

 

でろりと大の字に転がるクロロ。

ちょっとでも心配しちゃった自分が憎らしいぜコンチクショウ。

 

「ははん!ボロボロだなぁクロロ」

すたすたと真横まで歩いていって、立ったまま見下ろしてやる。

「・・・・・・・」

何か言い返されると思ったのに、クロロはじっと俺を上から下へ観察する。

「?」

「・・・赤い髪の眼鏡・・・だったのか・・・」

俺の手にしている赤い鬘を見てぼそりと呟く。

「なんだ?」

「いや、の能力なら盗むのは無理だなってだけ」

「??」

よく分からないが、どうやらクロロの念に他人の念能力を盗む系のものがあるらしい。

・・・・ん?

「・・・・お前、まさかシルバさんたちから能力盗ろうとか・・・・」

「無理だったけどね」

「・・・・・・・・・・」

あれだね、呆れて物が言えないってこういうことだね。

天下のゾルディック家の当主と先代前にしてそんな余裕あるとか、マジお前何モンだよってかんじ。

まぁ聞いたところで簡潔に名前答えられるだけな気もする。

 

 

は何しに来たの?こんなところに」

よいしょっと上半身を起こしてクロロが問い掛ける。

「俺はオークションに参加してたんだよ、依頼で」

「ふーん、さすが、よく生きてられたな

「・・・・スマン。ちょっと殺気が・・・」

てめぇこの野郎俺がどれだけドッキドキな体験したと思ってんだ。

しかもマフィア連中が煩いんだよ!

 

「・・・クロロが生きてるって事は十老頭の発言はデマか」

「あぁ、十老頭は殺してもらった」

「・・・・・・・・・・・・はぃ?」

「イルミ=ゾルディックに依頼してね、ちなみにさっきの2人雇ったのが十老頭だったから」

「つまり依頼人を殺してもらって、自分が助かった訳か」

「そ。ついでにデマを流して貰った」

にっこりと屈託なく笑うクロロ。

十老頭→クロロ暗殺依頼。クロロ→十老人頭暗殺依頼。

どっちかが殺られれば、殺られたヤツを依頼主にしていた方が戦闘を止める。

十老頭がやられればシルバさんの戦う意味がなくなるからクロロが助かる。

つーか十老頭より自分の方が時間稼げるってこと前提だな。憎たらしいなコンチクショウ。

 

 

「ところで」

くいっとズボンを引っ張られる感覚で下を向けば、クロロが悪戯っぽく笑って此方を見上げていた。

「?」

「・・・もしかして、俺を心配してくれたとか?」

「〜〜〜〜っ!!」

この野郎!!遊んでやがるな?!

「あ〜〜もぅ、マジでちょっとでもお前の心配しちゃった自分が恨めしい〜〜〜!!!」

頭を抱えてしゃがみ込めば、クロロがにんまりと笑って覗き込んでくる。

なんか悔しい。

「・・・んだよ」

「いやぁ〜?」

ギロリと恨めしげに睨めば、笑ってかわされた。

 

よっと・・・と立ち上がったクロロは、見上げる俺を見てきれいに笑った。

「心配ありがと」

屈んだと思ったら、軽くちゅっとオデコにキスされた。

ちょっと面食らう俺に構わず、クロロは伸びをすると、「さて」と言って携帯を取り出して誰かに電話をかけた。

っていうか、イルミといい、クロロといい、御礼の仕方が可愛いんですが、何でデスカ。

 

ぼんやりとしゃがみ込んだままクロロを眺める。

うーん、マジで結構ぼろぼろだな。貴重なショットだ。

クロロが生きてるってことは、今日行われる競売は100%品物は本人に渡らない。

金をどぶに棄てるようなもんだ。

 

ぼぅっとしていると、クロロが振り返った。

、このあと予定は?」

「ん?別になんも」

「じゃぁ、おいで」

俺の答えを聞いてクロロが微笑んで言った。

手をひっぱって立たされる。

「・・・どこに?」

「アジト」

「は?」

アジト?ってあれか、俺の元仮宿。

 

・・・てかなんで俺が?

 

またも俺の反応には目もくれず、俺の手を引いて歩くクロロ。

携帯を再度とりだして「救急車は襲うな」とか言ってる。

「あとは手筈どおりに」

クロロはそう言って携帯を切って、口端を上げた。

「”手筈どおりに・・・”ねぇ」

さすがというか、なんというか。

俺が鸚鵡返しにもらせば、クロロが楽しそうに笑う。

全てうまく行ったというわけか。

 

 

「で?俺はどうしてアジトに一緒に行かなきゃいけねぇわけ?」

「招待だよ、。大きな仕事のあとは・・・打ち上げだろう?」

にっこりと無邪気に笑う。

「・・・はぁ。んじゃ、遠慮なくお邪魔しますか」

「そうだな、なんなら”おかえり”って言ってやろうか」

悪戯っぽく言うクロロに、俺も笑い返した。

 

 

 

 

 

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20060817