やっぱり来なきゃよかったかも。
宴の前
ご機嫌なクロロに連れられてやってきた懐かしの仮宿は、何故か数が増えてて。
しかも、お出迎えしてくれたのは、ちょんまげが素敵なやたら殺気だったおじ様。
一瞬斬られそうになったとかいうエピソードつき。
そしてクロロの部屋に連れられて、クロロがシャワーから出てきた後、何故かケガの手当てをやらされて。
んで、ちょんまげさんはビール調達を命じられて出て行って、クロロは上機嫌で定位置な瓦礫に座って蜘蛛の帰りを待ってる。
んで、俺はクロロの隣に座ってマス。
・・・・・何しに来たんだ俺。
俺が真剣に悩もうとしていると、クロロの携帯が鳴った。
ピッ
「・・・俺だ」
・・・・その出方どうかと思うぜ?いや、俺もたまにそんな感じだけどさ。
「・・・そうか、よくやった。帰り適当に酒とか盗ってこい。打ち上げするぞ。・・・わかった。じゃぁな」
ピッ
「成功?」
俺が聞けば、なんとも不適な笑顔で返された。完璧成功だな。
どうせだから、G・I見せてもらおうかな。
「ふふっ、を見てあいつ等どんな反応するかな」
ぼんやりしていると、クロロが楽しげに笑ってそう言った。
ちょっと想像してみた。
俺と面識のあるヤツはそれなりの反応をとってくれるだろ?
フィンクス・シャル・パクあたりは、普通に”また会ったな”的なかんじだと思う。
コルトピはちょっと警戒気味になると思う。何故だか、前もそんなかんじだったし。
残りは面識な・・・・・あ。
あったよ。
ちっこいのとでっかいのと眼鏡ッ子。うわぁ。
あいつらは・・・・俺があの時のヤツだとばれた場合・・・・・・・・・・。
ギャ―――ス!
「・・・・・・おい、どうしてくれる。なんだか恐ろしいビジョンが見えてきたぞ?」
「へぇ、それは興味深いね」
口に微笑を湛えて続きを促すクロロ。
「地下競売でばっちりであった3名、とくにちっこいのにバレた場合・・・きっと俺血祭りだぜ?」
「大丈夫。俺がさせないから(たぶん)」
「その爽やかな笑顔が信用ならねぇ」
にっこりスマイル0J〜みたいな笑顔のクロロ。”させないから”のあとに不吉な間があったぞ?
「・・・お前、面白そうなら傍観する気満々だろ?」
だって俺ならそうだし。
そして何を隠そう旅団員をけしかけた前科がある。
「ふっ・・・・」
その不適な笑い止めてください。
「そういや、クロロ、俺の前で時々喋り方ちがうよな?なんで?」
ふと疑問に思った。
2人のときは結構最初に会ったときのような喋り方が混じる。
現に今、そんな感じ。
もう猫かっぶりしなくてもいいと思うんだけど。
「あぁ、なんだろう。こっちもこっちで素だからかな?」
「・・・・AB型か?」(←一般的にAB型は2面性があるらしい)
「・・・」
「AB型か」
「・・・俺は世間一般の血液型による性格判断は信用してない」
「・・・当たってんじゃねぇか」
「・・・・・・・・・・・・・・」
クロロは明後日の方を向いて知らん振りした。
・・・・お前マジ何歳だ?
「・・・あ。そういや、オーラ診断とかあるらしいよなぁ。まだ良くわかんねぇんだけど」
「まぁ人それぞれだからな」
クロロが復活してこっちを向いた。
「・・・俺まだそんなに念能力者と会ってないからなぁ。会っても系統教えてくれる訳ないし」
ゴンとキルアとズシ、あとウイングさんのは知ってるけど。
なんだ?素直なのが強化?キルア・・・うーん猫っぽいと変化?ズシは・・・一生懸命だと操作?
俺の推理力・・・ダメダメじゃね?
「俺はそれも信用してない」
「まぁ総合的なもんだろうしな」
そんな他愛も無い会話をしていると、すっかり忘れていたご一行が帰ってきた。
俺ピンチ?まぁいいか、どうにでもなるさー。
いざとなったらクロロを盾にすればいいし!
俺は半ば自暴自棄になって(・・・ってかこれって無我の境地ってヤツか?)ただ団体さんが大騒ぎしながらやってくるのを見ていた。
「団長!成功したよ!」
「ったりめーだろ?」
「ちょっと騒ぐんじゃないよ!」
などと、ぎゃあぎゃあ楽しげだ。
「・・・あれ??」
一番最初に俺に気付いてくれたのはシャルナークだった。
うん、君は癒しだよ。爽やかさが素敵だね。
「おひさー」
ひらひらとクロロの隣に座ったままやる気なく返す。
「おぉ!じゃねぇか!!なんだ?なんでいるんだ?」
フィンクスが近付いてきながら聞いてくる。上機嫌だ。
っていうか、スーツ似合い過ぎ。マフィアにしか見えない。
パクはちょっと笑ってひらひらと手を振ってくれた。セクシードレスです。
「これはこれは♠驚いたナァ、なんでココにがいるんだい?」
不意に聞こえた道化師だか奇術師だか区別のつかないヤツに激似な声。
・・・・・・・・・・幻聴だと思いたい!!
うん、きっと別人だ。別人に違いない。
いや、あんな濃いヤツが他にいても問題だけども!!
俺は顔を背けて一生懸命声の発生源を見ないようにした。
しかし、その甲斐虚しく、俺の視界に見事にインした尖った靴先。
「ククッ酷いなぁ♥無視しないでくれよ◆」
そんな声が耳元でしたと思うと、顎に手を掛けられて上を向かされた。
ニッコニコな見覚えのありまくる顔とご対面。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やぁ、ヒソカさん」
「やぁ♥」
にや〜と懐かしい・・・いやそうでもないか?な、あの猫っぽい笑い方をするヒソカ。
「どうして君がココにいるんだい?」
「いや、クロロに連れられて・・・ってかヒソカこそなんでココにいるんだ?」
嫌な予感がするが、本人の口から言われるまでその予感が的中していない事を願う俺。
「あぁ♣それはボクが蜘蛛の一員だからさ◆」
・・・・・・・・当たってしまった。
てかシャルからヒソカの名前出てきたときから嫌な予感はしてたんだよ。
「はぁ・・・マジでか」
「マ・ジ♥」
俺いつのまにか蜘蛛と知り合いだったらしいよ。いやー意外だね。
てっきりヒソカは集団行動できないと思ってたよ。
「・・・・っていうか、そろそろ俺の顎、離しませんかヒソカさん」
「・・・ん〜?何だい?」
無視しやがったなこの野郎。
じりっと下がると、クロロの肩とぶつかって、そのままクロロに助けてと目で訴えてみる。
「・・・離してやれヒソカ。・・・、知り合いか?」
ヒソカはちぇ〜と俺の顎を離した。
「ハンター試験で知り合った。な、ヒソカ」
「まぁね♥去年落ちててよかったよ♠今年は大収穫だ・・・♥」
ゾクゥ・・・・・・。
うわっ!鳥肌たった!!頑張れゴン!キルア!!(自分も含まれている自覚なし)
「誰何だい?そいつ」
俺がさりげなく腕を摩っていると、和風なスタイルの女の子・・・いや女の人って言った方がいいのかな、が訝しげに問い掛けた。
その問いにクロロが口を開こうとしたとき、これまたタイミングよくさっきのちょんまげさんが帰ってきた。
「ほら団長酒盗って来たぜ」
「あぁ」
「で、団長、ソイツ誰何だい?」
再度女性が訪ねる。その声にちょんまげさんは俺にまだ居たのか的な視線を寄越した。
「まぁ全員居ることだし、知ってる奴もいるだろうが、紹介する」
そういってクロロが立ち上がった。
「今俺が蜘蛛に入らないか口説いてるだ。ちなみにク」
「にょわー!!!」
あっさり俺の仕事名をばらしそうになるクロロの口を急いでふさぐ。
「馬鹿!なんてこと言ってくれるんだ」小声で嗜めればクロロは楽しそうに笑う。
「「「・・・・・・・・・・・」」」
ぽすぽすとクロロに手を叩かれ、クロロの視線を追うと周りの視線に気付いた。
き・・気まずい。
「・・・あぁ〜どうも、俺は。一応ハンターでっす。蜘蛛に入る気はサラサラないんで安心してください」
「ちなみにフェイタン、あのときの赤毛だぞ」
「!」
どうも、でついつい手を離すと、クロロがまたも爆弾発言してくださった。
しかもあのちっこい人に向かって。
「・・・ど、どうもその節は・・・」
恐る恐るちっこい人を見やると、驚いたような顔とかち合った。
キン!!
と、思ったのも一瞬で、素敵に襲い掛かられました。
って笑い事じゃねぇし!
行き成りナイフで切りつけられそうになって慌てて仕込ナイフで受け止める。
しかし、いつも飛び道具として使う使い捨てナイフな所為か盛大に刃が欠けた。
キン!キンキン!
立て続けに攻撃されてそろそろナイフもダメになりそうだ。
クロロ助けろこの野郎と思ってクロロを見れば、素敵な笑顔で手を振っていた。
「クロロの嘘つきぃ―――!!」
「侵害だナァ、俺は血祭りにはさせないっていったぞ、血祭りには」
つまり、俺が多少怪我するのはOK?
「ふざけんな-―――!!」
「余所見ダメね」
スパッと至近距離をナイフが通過。
こっ怖ぇ――――!!
他の団員sもなんか普通に見てるし。ヒソカ楽しげだし!!
いやそれ以前にこのちっこい人楽しげだし!!
あぁもうマジ何しに来たんだ俺――――!!
20060826